準備する無意識

 

解離性障害の方は
特に『自分の感覚を過去に切り離してしまった方』です

受け入れ難い恐怖、恥、怒りなどが
実際、その場にいた際に『感じきると精神が壊れてしまう』
といった場面で

心が『救命措置』として
その出来事と、それに伴う感覚を切り離すという策を取るのです

 

しかし切り離した際に
それでは現実世界にどう適応していくか・・という問題が
生じるので

『偽りの自分』を自分の上に(まさに殻をかぶるがごとく)覆い被せていきます

この『仮面』的なものを長く使用していると

{どちらが本当の自分?}

となってしまい
年齢が特に30代後半の頃になってくると

本当の自分で生きている感覚がしない
自分が何を感じているのかわからない
いつも頭痛がする
1人になるとどっと疲れのようなものが押し寄せてきてうごけない
頭の中が騒がしい

などという症状として現れて

そして、そこで立ち止まって自分というものに
初めて向き合うという状況になってしまいます

 

精神科や心療内科などに行っても

解離性障害と診断をきちんとなされるまでに時間もかかります

解離性障害は、それこそ『忘却の病』なので
医師に話すにしても
うまく伝えられない
(・・・というより記憶がないので話しようがない)

経験を積んだ医師だったら
その、解離性障害の方々の独特の雰囲気を感じ取って
『もしや?』となるかもしれませんが

恐らく、多くの解離性障害の方が『鬱』や『双極性障害』などと
診断をされてしまうということが多いと思われます

 

そもそも『耐えきれないストレス』に対峙した時に

自然で、かつ原始的な
心の整理の仕方としては『対象物を分裂させる』ということをします

とても幼い乳児の場合は母親のことを
『よく出るおっぱい』と『あまりでないおっぱい』などと、母親を対象物として分けることが知られています

その、対象のものに『二面性』があるとは捉えることができないのが
乳児の時期であります。

 

少し育ってくると
『優しい人』と『怖い人』などという単純な分類を
外界の対象に向かってしていきます

もっと成長を重ねてくると
『この人は怖いけれども、でも優しい一面もある』だとか

『この人は優しいけれども、でも嘘つきだ』

などと対象物に『いろいろな面が存在するのだ』
ということを噛み砕いて理解していきます

 

しかし
解離の方はというと
『自己を分裂』させていくのです

そして外界の対象のものを『一つのもの』としてしか認識しないのです

なので単純に
『怖い人』
『嫌なことをする人』
『意地悪な人』
『美しいひと』
『いい人』

などという簡単な分類だけをしていき

そして気づかないうちに
その外界に適応させるために

自己を分裂させていき

『怖い人に対応する自己』
『優しい人に対応する自己』
『意地悪な人に対応する自己』
『女性に対応する自己』
『異性に対応する自己』
『よそ行きの自己』
『仕事をする自己』

などとひたすらに『自分を何種類も持つ』ようになるのです

 

解離性障害の方は
カウンセリングや、例えば医師の診察などに出向く際も
『診察を受ける自己』でいらっしゃることが多くあります

なので、解離性障害の方々の独特の雰囲気とは
一見堅く見え隙が無いように見えますが
よく見ると、洞穴のような空間的なものを内包している雰囲気が
あります

 

解離を専門にしているところの多くは
『解離』の感覚をよくわかっているところ、と言えると思います

解離の方は、面白いことに
解離の方と出会うと『変な反発』を感じられます

お互いに『偽りの自己』をかぶっているので
相手の格となる部分が探せない
・・そうすると
『どういう自己』で対応すればいいのかわからない

というジレンマにお互いが陥るのです

このジレンマを持ちながらも治療に通うというのは
最初は酷く苛立つ感覚を持たれますが
一度、そのジレンマのまま 通ってもいいのだ…と理解されると
スルスルと治癒が進むことがあります

 

『核』となる自分は『確固となる自分』ではありません

『幼い自分』がきちんと椅子についた
という感覚です

その幼い自分は椅子の上で足をぶらぶらさせていたり
どこかに走っていってしまったりと自由でしたが
そのうちに成長していきます

あるクライエント様の例ですと
カウンセリングが進むうちに『核となる自己』に出会いましたが

まあ、その子の意志の強いこと 笑

曲がったことは大嫌い
人に媚びるのも嫌
でも、義理人情に弱い・・というような江戸っ子な自己でありまして

ご本人様が色恋でフラリとなってしまうと
それはそれは、内部のお子様はお怒りになりまして

『夜、寝させないから!!』とすこぶるプンプンな訳なのです

カウンセリングでご本人様とは何回も話して
『色恋を本当にしたがっているのか』ということをお聴きしたりして

そうすると
ご本人様は『なんでも手に入れてなきゃ不安だし満たされない』などと
おっしゃり

それを聞いた『核となる自己』はキー😡と怒り狂い
そうすると食欲も感じない(もしくは食欲が異常に高まる)
眠れない
イライラが止まらない

と困った状況になる

 

それは『核となる自己』との亀裂が深まり

1人の人間の中で
相反する人格と人格のぶつかり合いで(そりゃあ消耗するだろうにと思うのです)

でも、この一連の葛藤も
『いち人間個人』が出来上がるには大事なことであります

 

紆余曲折がありながらも
結局は
『オリジナルの自己(核となる自己)』の方が
圧倒的に力が強いので

泣く泣く表面でのご本人様は
『搾取してきたもの』を手放して(それはそれは恐怖だったとおっしゃる)

そうして晴れて
『本当の自己』と足並みが揃うとですね

世界が集大成に向かって動き出すのです

 

準備が整ってきているな・・という感覚は
カウンセラーの私も毎回いろいろな方々のカウンセリングで感じることです

『核となる自己(オリジナル)』が
中心となって生きていこうと足並みが揃う時を

世界はこれでもかというくらいに
きちんとと待機しているのです

しかし世界が準備をしていても
『自己が一致』しないうちは

その堰が壊れないと言いますか

本当に足どめってあるんだなあ・・と思うのです

 

パートナーの高之瀬が弁護士なので

カウンセリングの方々の諸問題を(現実的に弁護士が介入した方がいい流れになるケースの場合は)
一緒に進めていくこともあります

お金が絡むので、もちろん先方の都合というものがあるのですが

その『都合』が足どめされることがよくあるのです

私たちが足どめしている訳ではなく

保険屋さんが・・
福祉事務所が・・
相手の弁護士が・・

と、話がなぜか保留にされてしまう

そういう時は
もう、わたしどもは顔を見合わせて

『とどめられてるな』

となるのです

世界が、大事なピースがきちんとハマるのを
きちんと待っているのだな

と感じるのです

 

そして何ヶ月も足どめを食らっていたものが

こちらのカウンセリングで
クライエント様がきちんと
『自己の一致』をされると

いきなり(次の日とかもある)世界が動き出して経済も動き出して
人も動き出して

となるという事象をそれこそ相当数、見て参りました

 

禅の先生は
『治る時というのは、世界のあらゆる事象が
波のように集まってきて治るものだ』
とよく言っていましたが

僭越ながら思うことは

世界はそれこそ、ご本人様の意向がはっきりとしてきたらすぐに
もう準備に取り掛かっていて
あとは『本人のゴーサイン待ち』ということがよくあるということ

むしろ
それより前から

私たちが気づかないだけで

世界は何かしらの意志があり
準備をしているなあと感じることがよくあるのです

 

何回も書いていますが

どこか脳の裏側と言いますか

紙一重、隣りの場所で、無数の数を一面に持つ多面体のルービックキューブが
すごい速さで今も動いて準備しているのを何となく感じるのです

   

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