わからないものは分からない

その昔の昔
私がまだ桜木町の片隅にあった『占いバー』でバイトをしていた時のお話。

なんの因果か
私は自分の働く場所というものは
『ここで働いてみたい』という強い欲求みたいなものを感じて

それでそこの店長なり、社長なりに直談判して
そしてその日の当日から働き出すというパターンが多い

その『占いバー』も
そんな経緯から働き出した場所でありました

いわゆる霊感があるという店長と、バイトのスタッフが私1人、という
こじんまりしたお店でありました

店長は確かに霊感らしきものがあって
占いを希望する人と対面すると、自分の背後から声が聞こえてくるらしい

その声たるや
ものすごい毒舌らしくって

その毒舌のまま伝えると
お客さんが怒って帰っちゃうからと

店長がオネエ言葉で
その背後の声が言うことを訳して伝えるらしいのだ

けども、まあ
そういった細々したことを除いても
その占いバーの店長は、割と普通の感性の持ち主で、そして堅実だった

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なんでこんなことを思い出すんだろうと、自分でも思う

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『ねえ、店長 俺のオーラ何色?』と
よく店長は常連さんに尋ねられていました

そんな常連さんたちに一瞬イラッとした顔をしながらも
『オレンジ色』とぶっきらぼうに言うと

周りの女性陣からも矢継ぎ早に

『わあ 私は何色ですか?』
『私は?』  『私は?』と声が飛ぶ

キュッと眉間に皺を寄せて、目を強く瞑って
1人1人の色を答えていく店長に とうとう禁断の質問がいくのだ

『オーラがピンクってどう言う人なんですか?』
『俺、オレンジって言われたけど これってどう言う意味なんですか?』

あーあ
と私は思う
この質問、店長がものすごく機嫌が悪くなるやつだ

店長は
『オレンジは健康な証拠じゃないの』
『ピンクは恋したいんじゃないの』
と答えていくが

次第にイライラしていくのが手に取るようにわかる

『意味なんて、わからないよ』

出た
キレちゃった

ヤンキーあがりの店長がよくキレるのを知っている常連さんたちは
連れてきた女性たちに{もう、よしな} と言うサインを出し
不満そうな女性陣たちは尋ねるのをやめるのだが

最近その場面を思い出すのだ

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そういや店長もものすごいトラウマを抱えた人だった

ドラマにできるくらいのトラウマだった
本人は飄々としていたけども 

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解釈なんてわからない
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オレンジのオーラがどう言う意味かとか
紫が霊性が高いとか
ピンクは恋しているとか

そんなのは統計でしかわからない

解離の世界
心象風景の世界もそのようなものだなと思う

『私、これが見えるってことは何かあるんですか』

『死霊が付いたらどうなるんですか』

『私がみている世界ってあってるですか』

『解離の人格は 自分なんですか』

私が師事している医師たちは解離の専門ですが
その先生たちも言う

『解離の世界ってのはまだ全然わからないんだよ』

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私は私の世界観で見てきたこと、感じてきたことがあって
それはシェアはするけれども

別の世界なんだと認識して、区別して欲しいなと思っています

ひとつの事柄を
違う場所から眺めていたりもあって
ひとつの場所からは凸として見えて
違う場所からは凹として見えているなんてことも
精神世界ではよくあります 

そもそも違うものを見ている可能性だってあります

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見ている世界が、もし危険な妄想の入り口だったとしたら
それは距離を取るようにカウンセリングをしていきますが

その妄想自体を否定したりはしません

妄想というものは
大きな口をして呑み込もうとするから 

ただ飲み込まれないように適切に距離を取った方が身体には負担がかかりませんよ
と言うだけのお話

大事なのは距離の取り方 

付かず離れずがよろしいかと存じますよ と言うスタンスなだけです 

だからカウンセリングでも、シリアスにならないよう
ユーモアを交えたりや斜に構えたような姿勢になるのです

身を乗り出したら
もろとも飲み込まれるから 

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医師たちは言います

『舞台慣れするしかない』と。

私もそれは同感です

何年かカウンセリングをしてきて
解離性障害の人たちを見てきて

いわゆる距離を取られがちな人、人格障害と言われる人たちの中にも
『黒幕』と言う存在が操って、その人の人生を乗っ取られかけていたりします

ご本人はそんなに悪い人ではないのに
黒幕にそうさせられていたりする人もいます 

と、
こちらが黒幕だと思って接していたら
本当は育ちきらなかった憤っているインナーチャイルドだったり

ふつうの人格の1人かと思っていたら
ねこ被った黒幕だったりと

そうそう、
黒幕が他の人格をいじめていたりなんかもよくあります

大変ですよ 
脳内でいくつも人格と存在が争うのですから
ご本人の負担といったら相当なものです 

そんなこんなで
表に出てくる人格も
瞬時に変化なさるから、こちらとしても
ただ目の前の『ご本人の変化』を感じ取ってその時間が終了という時もあります

黒幕さん自体はカウンセリングを進めたくはないから
邪魔をしてきたりなんてはしょっちゅうです

邪魔されるということは、それはそれで
こちらとしては光栄なことなんですけどね

たまに黒幕さん自体とお話したりもして

黒幕さんは大変だなあなんてことも思ったりもします

黒幕だけではなく
憑依した霊なんてことも割と多いケースです

霊とおしゃべりしたりもします 

でも、それが霊だからとか
黒幕だからとかとて

それがなんなんだ  というのが本音です

ただの事柄にしか過ぎない

だから淡々と黒幕さんと話をしたり
憑依霊の方々にお迎えを差し上げて、暖かいところに誘導したりをしているのです

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憑依霊って
なんでくっつくんですか?とこないだ聞かれたけれども

自分だって今生きていて
誰に話しかけても無視されて遠ざかられて

1人で彷徨わざるを得なくなったら
誰か、くっつける人がいたらくっつくかもしれないですよね

人は死んでも、孤独で寂しいという感覚は、辛く耐え難いものなのだなあと感じます

私は1人は寂しいなと思う方なので

クライアント様にくっついた誰かみたいなものは
寂しくない場所に連れて行けるようにお迎えを頼むだけです

くっつく理由なんては実際は訊いてみないわからないですし

尋ねて答えてくれる頃には
お迎えがきていて

こちらのことなんか眼中になさそうに
いそいそと上がられてしまいます

案外、そっけないものです 

   

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