初めての恥ずかしさ

小さな頃、スーパーの閉店間際にお惣菜を買うお年寄りの姿を見て
なんとも言えない気分になったことを覚えている

 

足元もおぼつかなく
ヨボヨボと小さな歩幅で

ひとつひとつ
お惣菜を選んでは棚に返し
また手に取っては棚に返し

スイスイと真横で選んでいく若者やサラリーマンに混ざって

時間をかけて吟味しながら
食べるものをなんとか選びとる姿に

見てはいけないような気分になり

すごく心に重く湿ったようなものが感じられた

 

この風景は思い出すたびに
目を伏せたくなるような感覚になり
ずっと不思議な記憶として残っていたのだけれども

感情に言葉をつけられないと
心にずっと『不可思議な感覚』として残り続けるというのは
本当なのかもしれない

 

息子の話で恐縮ですが 面白かった記憶として

息子は『恥』の感覚を初めて感じた瞬間を記憶しているのだと
中学生の時に言っていたことがある

 

それは
幼稚園の時にジャングルジムに登って
戦隊モノの真似をしながら
そのヒーローたちになりきって遊んでいた時に

友達のお母さんたちも居たところで

急に、自分がいきなり初めての恥ずかしい感覚に襲われたのだという

 

場所も覚えているらしく

『その時に、急に{オレ何やってるんだ}というような感覚が芽生えたんだ』

と言っていて

恥の感覚が生まれた瞬間を教えてくれたのだけれども

 

この本人が言う
恥の感覚とは『自分を客観的に見られる目線が本人の中に生まれた瞬間』でもあるのだが

その目線は
一体誰からの目線なのか・・・?ということがポイント

 

例えば、その時もし居合わせたのが私だったら
そんなに恥ずかしく思わなかったのかもしれないなあなんて思うのだ

おそらくその場に居合わせた
誰かのお母さんの目線が本人の中に入ってきてしまったのかもしれなくて

それが非常に本人に取っては不快で居た堪れなくて

それ以来
あんなに可愛かった『なりきった遊び』みたいなものを全くしなくなってしまい

反対に『戦隊のおもちゃ』を司令するような遊びに移行したのだが

本人の心の中で
『新しい感覚』が生まれた瞬間と
それにより行動が変化した瞬間というのがわかって
興味深いなあと思って聞いていた

 

そしてこの間は
あるクライエント様が祖父のことを『みすぼらしい』と思ってしまい

そういうことを思う自分に
二重にショックを受けてしまい
それがどうにも自分の中で片付かないというお話をされていて

『こういうことってあるよなあ・・』と聞きながら思っておりました

 

この『みすぼらしい』とか
相手のことを『惨めに思う』という感情は

後々に『自分も他人からそう思われたらどうしよう』という気持ちに発展していくことがあるのですが

この『相手のことを惨めに思う』とか『見窄らしく感じてしまう』という感覚は
どこを起点にして発現するのか
非常に興味深いのです

ーーーーーーー

さて、自分ではどうにも御し難い『感覚』が自分の中に発現してしまったことで

ご本人は、そう思ってしまったことへの『罪悪感』を抱きます

自分の感情への『罪悪感』は
非常に苦しい感覚へと発展していきます

感じたくないがために
その相手のことを、なんとかして『自分を刺激しないように』コントロールしていくということも
ありますが

ほとんどの方は
その『罪悪感』を感じないように
その現場から離れることを選択します

ーーーーー

これらの『感情』もしくは『感覚』が初めて生まれた瞬間というものを
思い出していくと不思議なので
ぜひ時間がある時に
思い出されて行ったらいいと思うのですが

『恥』という感覚は
他人の目線が必ず近くに存在して感じる感覚です

小さな頃はとくになんとも思わなかったことが
急に『変化』して感じられるようになるという時に

必ず『誰かの目線』があったことに気づくと思うのです

 

また『罪悪感』という感覚は
『憎しみ』とか『恨み』をもつ存在が近くにあって
感じられることが多いようです

人間の基本的感情は『喜怒哀楽』と言いますが

本当はもっと多彩で豊かな感情の機微を感じています

 

基本感情 強い感情 弱い感情 反対の基本感情
喜び (Joy) 恍惚 (Ecstasy) 平穏 (Serenity) 悲しみ (Sadness)
期待 (Anticipation) 警戒 (Vigilance) 興味 (Interest) 驚き (Surprise)
怒り (Anger) 激怒 (Rage) 煩さ (Annoyance) 恐れ (Fear)
嫌悪 (Disgust) 憎悪 (Loathing) 退屈 (Boredom) 信頼 (Trust)
悲しみ (Sadness) 悲痛 (Grief) 憂い (Pensiveness) 喜び (Joy)
驚き (Surprise) 驚嘆 (Amazement) 動揺 (Distraction) 期待 (Anticipation)
恐れ (Fear) 恐怖 (Terror) 心配 (Apprehension) 怒り (Anger)
信頼 (Trust) 感嘆 (Admiration) 容認 (Acceptance) 嫌悪 (Disgust)
(ウィキより)

• 安心、不安
• 感謝
• 驚愕、興奮、性的興奮、好奇心、性的好奇心
• 冷静、焦燥 (焦り)
• 不思議 (困惑)
• 幸福、幸運
• リラックス、緊張
• 名誉、責任
• 尊敬
• 親近感 (親しみ)
• 憧憬 (憧れ) • 欲望 (意欲)
• 恐怖
• 勇気
• 快、快感 (善行・徳に関して)
• 後悔
• 満足、不満
• 無念
• 嫌悪
• 恥
• 軽蔑
• 嫉妬
• 罪悪感
• 殺意
• シャーデンフロイデ
• サウダージ • 期待
• 優越感、劣等感
• 恨
• 怨み
• 苦しみ
• 悲しみ、切なさ、感動
• 怒り
• 悩み(苦悩、懊悩、煩悶)
• 諦念 (諦め)
• 絶望、希望
• 憎悪(愛憎)
• 愛しさ
• 空虚
(Wikiより)

この中でもとくに
感情の中で複雑で繊細なものといえば
やはり
・尊敬
・恥
・罪悪感
・サウダージ(郷愁)

が挙げられると感じます

最後のサウダージ(郷愁)の感情は
実は『過去生のトラウマ』を持っている方はとくに感じられるようです

わけもなく
なんだかどこかが懐かしいような感覚

どこかに帰りたいような感覚

などをなぜか感じるという方に多いですね

ーーーーー

感情というものは
煙のようにいきなり立ち昇り
そして薄れていくもので

自分では掴みにくい実体がないようなものに感じてしまいますが

実は起源がわかるものもあるのです

自分の感覚、もしくは感情が
どういう実体と実態をしているか

お時間がある時に、ゆっくり感じてみられると面白いと思います

   

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