蹴られたお話

あるクライエント様が
この年明けのお正月に息子さんが帰ってくるということで

その息子さんたちは、もう独立されてて仕事もしているので

まあ、久しぶりだし
外に飲みに行こうとなったらしく
お正月の夜に町にくり出したそうな

 

その方の夫は(確か何かの用事があったかで不在だったような)いなかったので

息子と
息子の従兄弟たちと飲んでいた時に

息子さんから
『お前、自立しろよ』と急に言われたという

 

そのクライエント様は、去年一年のテーマは
『自立に向けて生きる』ということを目標に
自分自身の弱さや、寂しさや、依存心やらと向き合ってこられました

『自分には資格も特技もなにも無い』と何回も何回も絶望しながらだったから
(でも無いわけではないのだ、そう思い込まされているだけなのだけれども)

その道のりは壮絶で、
なんやら去年だけで10キロ近く体重が落ちるくらい大変だったそうなのだけれども

一つ一つ課題をクリアされて、やっともうすぐのところまで来たのだ

 

去年は、ちょっとした奇跡が起きて
(それは彼女が本当に真正直に自分の弱さを受け止めたからこそのギフト的なものだったのだけれども)

その奇跡は
訪れ方は劇的に『不幸な出来事』としてやってきたが

我々のカウンセリングの特徴として『災い転じて福と為す』ことが得意なので

この出来事が
もうすぐ『奇跡』として変わりそうなのだけれども

ともすれば押し戻されてしまいそうな孤独感がくるから
『諦めたくなるんです・・』と言ったニュアンスのことをふとこぼしていたりもしていました

 

言ってしまえば
夫と離婚をして1人で自活していく・・ということが
出来そうなところの手前なのです

師たちからも言われておりましたが
夜明け前という時期が一番きついですね

あともうすぐで夜が明けるという時間帯が一番暗いと言いますが

ほんとうに絶望的にあるような暗さがきます

でもこれを乗り越えればもうすぐなのですけれどもね

この絶望的な時期というのは
残念なことに|覚悟 だけが 灯りになるような時期です

なので、ともすれば昔の明るさみたいなものが恋しくなって
そちらに向かいたくもなるのですが

それはダークサイド側からしたら飛んで火にいるなんとやら
なのであります

 

面白いことに
その方に訪れたあちら側は
誘惑に満ちていて
変な酔いを提供する存在が現れて

こちとら、もう身震いしちゃったよね・・

本当にマーラ😈(注:仏陀に悟りをひらかせまいと邪魔してくる悪魔のようなもの)みたいな存在っているのだわ・・と思った

 

これは困ったなあ・・と少し静観を試みたのだが
時間も関係してくるし、もう辛抱ならなくて喝を入れたら

マーラみたいな存在はまだゴニョゴニョとしてたけど
クライエントのご本人さまは正気に戻られた

 

その時のクライエントさまは

胸の辺りの自分は、嫌がってるんだけども
頭で考える思考はマーラの方に引き寄せられるようにフラフラしてしまう

とおっしゃていて

思考というのがどれくらい心許ないのか・・ということを
今回も知らしめられました

 

されども、神はいるのだなあと思うのだが

そんなクライエントさまを蹴り飛ばす神が現れたのだ

自立しろ、自立


息子から言われたら、もっと目が覚めたという

 

ずっと長いこと自分を見てきた人物から
今後のことを示唆されて、背中を押される

しかも結構痛いのですよ
弱さを突かれるというか・・

 

私も、実は前の夫と別れて数年前に家を出る時に息子から押されました

いざ家を出ようとなった時に
なんとなく前の家に自分の居場所を持っておきたいような気分になってしまい

荷物を持っていくとか
置いていくとかでぐずぐずしていた時のこと

息子から
初めて反抗されたというか
あんなに言われたことは無いってくらい怒られたのだ

 

それはまるで

出ていくなら覚悟して未練なく出ていくのがスジだ

ということを叫ばれたような
彼からの初めての声だった

絞り出すかのような悲鳴のような声

辛かったと思う

 

従属関係になってしまった父と母を見続け

その結果、母の『自立』は
自分からも近くにいる『存在』を切り離すという行為で

長く一緒にいた母親を家から蹴り出すということをさせてしまい、
本当に申し訳ないなあと今になったら理解するのだけれども

 

その当時は
そんなことを息子から言われるなんてびっくりしすぎて
それなら仕方ないと、着のみ身のまま家を飛び出たような感覚があります

 

その後、数年はギクシャクした時期を過ごしたが

今は修復された関係で
いい距離感でいるのだけれども

どう修復したかは、また別の話で書くとして

 

当時の自分のマーラは

自分が居場所を創るために外の世界に出ようとしたら

急にそこまでなかった場所に
『ここに居場所つくりましたよ・・・』みたいな虚像の場所が
マーラによりポンっと出来上がり

『ひ〜〜〜〜〜🥶』となったのだ

ずっと欲しかった居場所が、いきなり提示されて

ふらふらと戻りかけたのだが

 

いや、待てよ
ここで戻っても
散々、お願いしていたのにずっと辛かった時に蔑ろにされてきたじゃないか
あの20年間を忘れたのか

それが自立すると覚悟を決めた途端に

『ここにとどまっていなよぉ・・』といきなり理解を示すが如く変化する周りに
沼って動けなくなったのだが

それを息子は見事に蹴り出してくれたのだ

 

痛かったけど
あの時、本当にぶつかって押し出してくれてありがとうと思っている

その後、沼で
数年1人で頑張っていきた息子は歯を食いしばってそこから出てきた

そこも凄いのだ

ーーーーー

少し話はズレるけれども
この蹴り出してくれた日に、実は息子は初めて『箱庭療法』というものをしたのだ

それをもう彼は忘れていると思うのだが
息子の箱庭は、不思議な箱庭だった

本当に、無意識が表出したかのような箱庭で

そうしたらば
その晩にいきなり、感情をいつもコントロールできる冷静な息子が怒り出したのだ

それは、『生きる声』で本当に辛そうな絞り出すような声だった

ーーーーーーーーーー

自分が『こうありたい自分』へと変化する時というのは痛みを伴うのだと
いつも思う
(私の場合は1人で生きていく自分が目標だった)

でも1人で生きていけなかった『それまでの自分』は
甘ったれで言い訳が凄く、人に頼ることだけは一丁前な自分だったが

その『{人に頼る自分}という自分』を
自分から引き剥がす時は痛かった

言い訳も
甘ったれも
怠惰も、全て

『変わりたくない自分』に従属し服従した、自分の遠吠えだった

本当は今の状況が苦しくてたまらないのに
変わるのが億劫で損をするように感じてしまうから

ひとっ飛びに、周りを変えればいいじゃんという
独りよがりの狡い『変化もどき』でした

これは全ての人で変わらない方程式のようなもので

その痛みを『やるしかない』と自分で受け入れる覚悟ができた時の
頭の中って
そりゃあ静かなもんです

 

今回ご紹介したクライエント様も
マーラを撃退したら、その日の夜からずっと何年も悩んでいた不眠がいきなり
眠れるようになったのだという

そう そうやって
何かが劇的に変わるのだけれども

あんまりにもぐずぐずしていると
蹴られる場合もあり

痛みは、本当に辛いが、
それは『偽りの自分』との癒着を剥がす
本当の痛みなのだといつも思うのです

   

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