すり替えられた欲求

強迫的な『美しさへの渇望』が『見捨てられ不安』からきていたケース

ある女性クライアント様が 強烈な見捨てられ不安にずっと悩まされてきておりました

この方は いつも 周りから見捨てられないように
『美しく 儚げで ほっとけないような雰囲気・印象を醸し出す』ということをしております

ご本人の自覚としては
『美しく装う事が 自分の幸せ』
という認識でおり

実はそれが『見捨てられたくない』という強烈な不安から成すものだとは気づかず

『美しくいること』がまるで女性の義務だと言わんばかりで
周りに対しては
『美しく装えない人は義務を放棄している』
と、割と厳しめのジャッジの目線もあります

しかし一方で自分より『美しく儚げでほっとけないような人』を見ると
強烈な嫉妬心を覚える

本当に義務であると思い込んでいるのであれば
義務は権利にもなるので
そこまで『嫉妬心』も掻き立てられないでしょうが

見捨てられ不安からくる強迫的な『美しさへの渇望』は
自分が一番でないと
余計『見捨てられるかも』という『自分への心もとなさ』を感じやすいのです

自分の欲求にこだわってしまう大元には『親に見捨てられるトラウマ』がある

実はこれほどまでに
『自分の欲求にこだわる』ことの原体験には『親に見捨てられるトラウマ』がある場合が多いです

怖がっている子供には
守って庇護してくれる親がいないと安心できませんが

この女性はもう大人であるにも関わらず
他人からの庇護・保護を確実にする必要にいつも(無意識下で)迫られて
生活しておりました

『自分への庇護・保護を確実にするには相手を惹きつけておく必要がある』

そして

『相手から攻撃されないためには相手より美しくいることで
相手からの攻撃性をなだめる』

・・・という思い込みの学習からなる
人生の基盤となる『物事の優先順位』を決めやすい

なのでこういう場合の物事の優先順位は

『美しくあることが自分の得になるので、何よりも優先すべきこと』
となり

『自然の摂理としての『老い』は抗うべき恐怖』となってしまい

常に何かに追い立てられるような感覚を持ちながら
生活していくことになってしまいます

この場合は実は『欲求のすり替え』が起きているのですが
ご本人は気付けない

本当に必要としている感覚は『安心感』で

そして解放したい感覚は
『安心させてもらえない憤慨感や孤独感」なのに

欲求をすり替えてしまったため
『美しくありたい』という欲望により
得るものは『美への強迫的感覚』を追い求めてしまっていたり

『自分を庇護する相手』が自分のコントロール下になることを
求めてしまっている

カウンセリングで行うこと

カウンセリングでは
『その欲望はダミーではないでしょうか』と
何度も問いかけてみますが

苦しみの渦中にある時は
『この望みさえ叶えば、私は幸せになれるのです』

すり替わってしまった欲求を手放せなくていることが多いです

そういった場合には

『では、それが本当に手に入ったら、あなたはどういう感覚を味わうでしょうか』

一緒に催眠状態に入っていき
体験していくこともします

そうすると
『手に入っても、結局 不安が消えないかも・・』
と気づき

自分の本当に望みに気づき始めます

愛されたくて仕方ない人は 愛せない人です

何を愛せないかというと
『自分を愛せない』

『自分・・』と
ご自分を想像してもらうと

『自分は可愛くない』とか
『自分は醜い』とか
『自分は間抜けだ』とか

出てくる出てくる、自分への罵詈雑言

この罵詈雑言は『幼少期の周りからの声』なのですが
それを間に受けて
『自分の中に取り込んでしまい』
そして
『自分をいつも罰している』

だからそこから救い出してもらうために
『誰か ありのままを愛してくれる人 求ム』

けど自分が対外的に見せているのは
『演じている自分』だから
何度も何度も試し行動をして、相手の本音を引き出そうと躍起になってしまう

そして
結果的に
試されていることに辟易して疲れてしまう相手を見て

『ほら 愛されてない』

という結論を出してしまいがちなのです

自分の中に作られてしまった『前提』をぶっ壊せるかどうかには根気が必要です

揺るぎなく間違った前提を作り上げられてしまった方々は
本当に苦しそうです

これをなんとかしたいもんだ・・と
いつもハンマーを振るいながら思うのです