心の中の楔

クライアント様たちをみていて毒親との心の中での訣別(それはすなわち毒親からの支配から抜け出すことを意味するのだけれども)
をしようとなった時に

クライアント様の中で葛藤が起きることがあります

『訣別なんてできないんじゃないか・・』
『いや、毒親とは言っても育ててくれたじゃないか』とか
『なあなあに暮らしていけるのではないか』

など
訣別を避ける傾向が出てくる場合が多々あります

いわゆる毒親からの支配と共に生きて行ったほうがいいんじゃないか

という思考が出てくる時です

私もそうでしたが
支配下にある時は、もちろん支配の外に存在する『自由な世界観』というものが想像できません

常に毒親が『世界ってこういうものよ』『あなたはこう生きるべきなのよ』と言った導きを
子供にしてきたせいもあります

クライアント様のケースの中でも
例えばわかりやすく『殴られた』とか『性的な被害を受けた』などだと
親のことを諦めて見限ることも出来やすいのですが

難しいのは
親が罪悪感を植え付けてくるパターンです

そんな親の特徴といえば『恩着せがましい』ことです

『子供を育ててやってんだから』『あなたを育てるのは大変なんだから』と
自分が子供に対して行う行動を
いちいち、恩に着せてくる親の元に育つと
子供は『自分の存在がいかに親にとって迷惑でめんどくさい存在なのか』と自問自答し始めます

『あなたを育ててやっている』という恩着せがましさは
想像すると心がヒヤッとします

おそらくこの言葉をいう時の親は
ひどく冷ややかな眼差しを子供に向けるのではないかと思うのです

子供はこの言葉に近いニュアンスを聞き
自分のことをどう捉えるのかと思うと心が痛くなります

 

昔、私のママ友と子供たちで遊んだ時に

そのママ友が目の前で『あんたなんて産まなければよかった』と言っていて
喧嘩になったことがあります

その子供は言われ慣れているのか、
目を伏せただけで

それをみたらやるせなくなってしまい 

私は瞬間的にカーッとなり
『そんなことを子供にいう言うなんておかしいよ!』とその場でバトルになったことを思い出します

もう、その子もすっかり大人の男の人になってしまったけれども
道で会うと会釈はする 

その子のママ友とは疎遠になってしまったけど
あれは言って良かったんだと今でも思っている

どうしても黙っていられなかった

 

話がそれたけれども
子供は親から『存在を否定される』と言い返せません

思春期になった頃に、やっと
『なんで産んだんだ〜!!』と爆発する場合もありますが

ほとんどの子供は、小さい頃から否定され続けてきて
自分がいかに迷惑な存在なのかと思って生きてきたので

成長するにつれて 
萎縮して
自分が存在することがいかに『罪』なのかと思い煩い

いかに『罪深くないように』・・・それはすなわち『迷惑をかけないように』と生きるような人生を模索し始めます

 

ぶっちゃけ
思うのだけど
子供を産むと言うのは『親の勝手』なのだと思っています

私も子供たちを自分の都合で産んだし

夫婦の一存で『命』を作り出したのであって
生まれた子供はやはり『受動的』に生み出された存在なのだと思っています

どこかで『子供は親を選んで生まれてくる』といいますが

勿論、そう『私は親を選んで生まれてきた』と思える人生だったらどんなにいいかと思うのだけど

実際はそう思えないから苦しんでいる人がいるわけで

そんな人たちに追い討ちのように
『あなたが選んで生まれてきたんだから』なんていう『責任』を負わせるような思想や考え方は
何もご本人を楽にはしないと思うのです

 

実際のカウンセリングでは
『こんな人生だったけど、生まれてきて良かったな・・』と
思っていただけるまでに回復させていくことが主軸となりますが

『生まれてきて良かった』と思えるようになるまでは
毒親に育てられた方々には抱えきれないくらいの苦悩を要します

それぞれの方には入ってしまっている罪悪感は
解き方(溶き方)もさまざまな方法があります

例えば『あなたは本当に可愛くないわね』なんて言うのも罪悪感になりえます

そして割と容姿の罪悪感は
この時代に多い気がします

『可愛くない自分は罪』『きれいでない自分は認められない』
と言うことは

『今のありのままの自分は罪』と認定されたと言うくらいの効力を
その子供の中で持ち始めます

すると子供は異様に見た目にこだわるようになり

罪を感じないように
罪を消すように
自分を装い始めます

本来、化粧や自分をきれいに装うことは喜びであるはずですが

『罪を消すために装う』ことは
ご本人をひどく消耗させ強迫的な行動へと駆り立てるものになります

子供にとって
親は『罪を着せて、かつその罪を消すように導いてくれる存在』になります

『あんたは本当に可愛くないわね』と言いつつ
『だから整形させてあげるわよ』と言い子供を救う

茶番にも程がある

最初から容姿について
何も言及しなければ、子供は『醜い』という罪悪感を負わなくて済むのに

親は子供に『お前は醜い』だから『こうやれば救われる』と言う
二段重ねの振る舞いで
子供をコントロールし始めます

これは『頭が悪い』とか『お金の使い方』など
色々なところで親が多様する罪悪感の植え付け方です

私も、実は罪悪感がありましたが
それに気づくことはなかなか難しかったです

私の場合『死ね』と言われてきたことがあり
『存在が罪』と言う罪悪感となってこびりついていたのですが

それは普段の生活では
『なぜかいつも焦っている』と言う行動に表れていました

なんでいつも私焦ってんだろ・・
なんでいつも理由なくパニックになるんだろ・・

と思っていたのですが

これを引きおこす正体は『罪悪感』でした

よくパニックになるシチュエーションは『休む時』でした

『休もう』とすると途端に心臓がバクバクし始めて
いてもたってもいられなくなります

仕事をしている時は本当に疲弊していて、いつも『眠たい』『休みたい』と思っているのに

いざ休もうとすると休めないのです

何もしないと、自分が何かに押しつぶされるような感覚になります

これを引き起こしているのは『罪悪感』なのだと
自分で解き明かした時
次の瞬間からパニックはだいぶ和らぎました

何もしないことは『罪』
休むことは『怠惰』
『生産性のない人間は攻撃対象』

だとして育てられてきた私は
いつしか休むと、自分で自分を攻撃するようになっていたのでした

罪悪感というものは厄介なものです

前提のように目の前に創られたものなので
気づくのにも大変です

けど、自分で言うのもなんですが
その人の中に創られた罪悪感を壊すのは私の性に合ってるようです

どんどん壊して自由を味わって
『生まれてきて良かった』と思っていただけたらと思っています

   

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