記憶は黙らない

別れた夫はとても金木犀の香りを嫌がっておりました

 

『臭い』と鼻をつまみ、それこそ本物の苦虫を噛んだような顔で
『トイレの匂いだ』とか 『気持ち悪くなる』『こんな匂いを好きな人の気がしれない』など
散々な言い方に

私は、とても金木犀が好きだったので
ついぞや『この匂いが好きなんだ』言い出すことが出来ませんでした

 

金色の匂いを
小さな頃はよく集めて
そしてそれで匂い袋なんかを作ってうっとりしていたくらいだったので

それをよっぽど『嫌い』と顔を顰められると

なんとなく申し訳ないような気持ちになり

秋になり
町中に金木犀の香りが漂うようになると
猫のように鼻を効かせて歩いていたが

一緒に歩いているときは
横で舌打ちや鼻を鳴らされたりするものだから

居心地が悪くおりました

 

それとともにとても不思議でした

『なんでいい匂いのものを、こんなに嫌うのだろうか』

 

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謎は20年後に一気に解けました

 

一緒に暮らしてはいましたが
幼少期のことなどはほとんど共有しなかった夫婦でした

しかし、私がこの仕事を始めたことことにより

自分の中での見解が変わり
そして『うん、離婚しよう』となったのですが

お世話になったこともあり
置き土産として、トラウマを治療するからということをしようとなりました

20年間もの生活の中で
一番悩んでいた『夫の酒乱』が
トラウマ治療で一発で治ってしまったからです
(確か、その時のことブログで書いてあります、蟲出しのブログだったような)

だから、色々なトラウマを昇華してしまおうと
職場にきてもらい、何度か介入しました

 

その中でも、特に私が気になっていたところ
『野球』というテーマで介入を数回しました

彼は少年野球を小さい頃からしていて
そのまま甲子園の常連校に進みましたが

聴くと、割と『体罰系』の特訓を受けておりました

『お前は犬みたいだから、おい犬!とよぶぞと言われていた』とか 

もちろん体罰もかなりあったそうです

ここには書けないようなこともたくさんあったそうな 

でも本人の中では
なぜか『いい思い出』として仕舞われていたらしいところも不思議
でした 

 

そして
そのトラウマを治療してしばらくして

秋になった頃に
ふと彼が言ったのです

 

『金木犀が嫌いだった理由が分かったんだ』

 

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それは秋の大会で、仙台くんだりまで南下してきた時のこと

彼の出身は東北で
金木犀は寒冷地では育たないので
その匂いを初めて嗅いだときにびっくりしたのだと言う

そしてその金木犀は
野球のグラウンドの横に満開に咲いており

そんな中、進んで言った試合に彼の高校は負けてしまったのだという

そしてそのあとの
反省会やらなんやらは、もう地獄だったのか

連帯責任というものが野球の世界にはあり

その中で『ミス』をするとか
働きが悪いということは、すなわちチームの評価に直結するシステムの中

『罰』というものでチームを鍛錬していく方法は
その後の彼の人生でも、大きく影を落としておりました

 

『負けた大会の時の苦しい記憶と、金木犀の匂いが一緒になってたんだ』

 

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金木犀の黄金色の匂いと
そんな秋色の記憶は非常に苦しいものだったのか

彼はその後
自分の中の『何故かそれが嫌い』だったという謎が解けて

そして金木犀の匂いが平気になったと教えてくれました

 

(本人からブログへの記載の許可を得て書いています)

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記憶をする時
人はその『記憶システム』を無意識で、驚くほどのシステマチックな方法で
脳の引き出しにしまい込みます

おそらく思い出すのも辛い・・という記憶は

思い出したくない『引き出し』にしまい込みます

 

『思い出したくない』と
いつもの貯蔵庫とは別の場所に
仕舞い込むのは『無意識』の仕業ではありますが

その時に無理してしまいこむのでしょう

その時の膨大な情報をしまい込めないのかも知れません

脳からの、情報収集は五感(第六感)全ての情報になります
それは匂い、食感、手触り、空気感、視覚、聴覚、嗅覚と

一瞬一瞬でも、かなりのデータ量になります

それを無意識で圧縮して縮めてその場でしまいこむのですから
『漏れ』があっても仕方ありません

もしくは記憶に紐づけられているものが
その戸棚から出ちゃってる・・なんてこともよくあります

または
その閉じ込められた記憶が
『出たがってる』なんてこともよくあることなのです
(脳に負担がすごいから)

 

私たちの記憶というのは
一瞬ごとに五感から(第六感からでもありますが)膨大なデータを感じ取り
そしてそれを蓄積しております

絶対に忘れることがないところに刻み込まれます

だから『罪悪感』などは
なんとなく居心地が悪いとか
その場にいたくないとか
・・表面上ではそんな現れ方をして
『意識の自分』に訴えかけていたりもするのです

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よく、洗濯好きの人は『罪悪感』が強いと言います

掃除が強迫的な方のことを
『罪悪感が強め』という先生も多いです

強迫神経症的な方とお話ししていると
『自分はなぜか、自分のことを存在していて申し訳ない』と思う
罪悪感みたいなものをよく感じている

とおっしゃったりします

それもトラウマを紐解いていくと
本当に『罪悪感の種』が見つかったりするのですよ

 

最近ホットなのは
『女性であることの罪悪感』をお持ちの女性が多いということ

女性である私は、憤慨してしまいます

女性であることを『罪』とされているなんて
なんていうことでしょう

生理痛がひどいなどのケースは
割とこの辺りが関わっていたりするのです

なのでいつも、この『罪』を着せた存在のことを思い
プンスカ😤しながらトラウマを解消しております

   

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