限界を味わう行動

「リミット ティスティング」
という言葉をご存じでしょうか

訳すと 「限界を味わう行動」

それは 虐待を受けた子どもが
信頼関係を築けそうな相手に対して

①わざと困らせる行動をしたり

②どこまでやれば 相手は自分に対して
怒りはじめるか を探ったり

③相手が自分を騙していないか
何回も試してみたり

④目の前の人物は自分を受け入れてくれるかを 実験したりする

行動のことをいいます

虐待が酷かった子どもは
特に 矛盾を嫌い リミットティスティングを
してしまう事があります

矛盾とは

つまり 今まで刷り込まれた暗示があり

それは 自分自身が
『虐待される立ち位置の人間なのだ』
という認識をしている 暗示

しかし 人は
自分を受け入れてくれる存在を探しており

その存在が見つかったときに
その相手に 『自分を受け入れてほしい』

しかし『自分は価値がない』
という刷り込みが 虐待されてきた経験から
入っているので

こんな自分でも受け入れてくれるのか
信頼を築けるかどうか

また自分は虐待を受けるのではないかと
いう恐怖もありましょうし

だから何回も何回も
自分が納得するまで

相手を困らせ どこから怒らせるのか…虐待されるのか…を試してしまうのです

だから そのお試し期間に 去ってしまう人も勿論いますし

わかりあえない関係に落ち着いてしまう事もあります

 

なにを隠そう 私は この
リミットティスティングを
相手が潰れるほど やる人間でした

相手が
自分を信頼してくれるほどに

相手が騙して 嘘を言っているのだと思いこみ
信頼を 受け入れられず

本当に相手が どんな自分でも受け入れてくれるのかを
試し続ける人間でした

やっと
今になり

トラウマ治療をし 過去を整理し

信頼できる人たちが出来てきて

自分が どんな風に感じているかを
落ちついて
伝えられるようになってきたため

行動で相手を試すようなことをしなくなりましたが

あの時の
リミットティスティングの感覚を
私は酷く 自分でも恐れていたと記憶しています

制御が効かない感覚とでもいいましょうか

私は 相手が嘘をついているんだ
という 刷り込みが 虐待により
何故か入っていたので

相手を試す行動をして
困らせることをするのですが

相手が本当に困っているのも理解しているのに

相手が自分を信頼してくれている

…という事を受け入れたら自分が 崩壊し
壊れてしまう感覚になってしまうため

相手を壊すしかないという恐怖

信じたい相手に対し ひたすら矛盾をつく行動

今になれば

自分は虐待されるように
無意識に相手を誘導していたのだと思います

それが 小さな頃からの
自然な自分であり

虐待されている方が 矛盾が無かったから

だけど いつも 割り切れない思いをしてきて

とても とても苦しい やり取りを何回も何回も何人とも 何十人ともして

落胆し  そして虐待される立ち位置に戻らざるをえなかった

ちなみに
不思議に 信頼関係がない相手には
この破壊的な人格は出てこないんですよね

ここも 大事なポイントなのだと思われます

虐待の再上演の相手には 噛みつかない

要は
小さな頃の親と同じような感覚の相手には
リミットティスティングをしないのです

リミットティスティングをするのは
信頼関係が出来そうな相手にだけ

そして その結果が虐待に落ちついたら
破壊的な人格はおさまるけれども
苦しみは続く

虐待してこない安全な相手には
破壊的に関係を壊したくなる言動をしてしまう

こんなことを
何回も繰り返し

辛抱強く やり取りから

三歩進んで二歩下がりながらと

安全な存在が
世の中には居るんだと やっと わかってきて

ようやく
リミットティスティングをしなくなりました

今になれば
リミットティスティングで
相手を破壊しなくて良かったと思いますが

何故
相手が 破壊されずにいれたのか

それは 相手に 『心にきく』 というツールが
あったからです

相手も 私の この破壊的な人格が
本人のものなのかを 心にきいて
いつも確認していたと 後々教えてくれました

リミットティスティングは
する方も
される方も
とても辛い試練のようなものです

しかし これは
お互いの 信頼関係が出来つつあるからこそ
あらわれる行為であるということが
もっと
メジャーに世間に知ってもらえたなら

世の中には
まだまだ沢山 紡げる縁があるのだと
思うのです

ちなみに
リミットティスティングは

子どもだけではなく
勿論 大人にもあり

夫婦や 恋人など パートナー間で
よく見られる現象で
ご相談内容にも よく見られます

これは 人格障害なんじゃないかと診断されていたりもしますが  実は回復傾向にある方のプロセスだったりもするので

一概に 障害なんだと それを 取り除く治療をしてしまうのは  勿体ない

また トラウマを抱えたクライアントさんと
カウンセラーにも
当てはまります

大人のリミットティスティングは
根が深いです

何故なら ずっと
人は信頼出来ない という前提で生きてこられたから

かなり鎧を何重にもかぶり
演技をされ生きてこられた方が多い

だけど
その噛みつき行動は 実は
「あなたを信じたいのです」という叫びなんだと

なので 回復にさしかかり
妙に 噛み付いてくるようになったなぁと
なったら
それは 信頼関係が出来つつあるのだと

私は自分自身の経験も踏まえ
かなりポジティブに受け取っているのです

相手を困らせたり
試してしまい 自己嫌悪に陥ってしまう治療には

過去の自分にアプローチする治療が
一番負担が少なく済む方法だと思われます

セルフでも 出来ますよ

リミットティスティングをしてしまう年齢の自分を
探してみてください

そして
その子に 何が怖いのか訊いてみてください

そこにヒントがあります

乙原

 

 

 

 

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