トラウマ クッキング

トラウマとは一体なんなのでしょうか

よく「あ〜こりゃあトラウマになるわ〜」
なんて言葉の使い方をきいたりして

なんとなく心の傷の中でも
深めの傷なのかというイメージですよね

たしかに それは 合っていますが近からずも 遠からずです

今回は 親 または養育者との関係において
生じたトラウマの特徴を挙げていきたいと思います

トラウマの特徴としては

その心の傷を負った瞬間を時間が経っているのにも関わらず

フレッシュに全く同じ瞬間を何度でも感じることが出来るということが

最大の不思議でもあり 脳の逞しさを垣間見れる瞬間でもあります

また その瞬間が「自我が崩壊するような恐怖」であったりする場合

要は「生命の危機」を感じる瞬間ですね

これは 何度も感じてしまうと 脳に負荷がかかりすぎてしまう為

「未来予測」として 「生命の危機」を感じるかもと脳が判断した場合は
「解離」という 救命措置を
脳と無意識とこころで 連携してとる場合があります

主に 親や養育者から 度重なる虐待やネグレクトを受け続け
それに タグ付けをできない場合の救命措置だと
私たちは考えています

『タグ付け』…行動や出来事に 言葉でもって 意味を解説することですね

養育者が 己の都合での育て方や 躾をした場合
そこに 子供は 一貫性と意味を見出せません

例えば その子に
「意地悪をして快感を得る」という感覚が無いとします

しかし 現実場面では 相手に意地悪をされる

その時に 相手が自分になにをしようとしているのか
相手が なんの意図を持って自分に関わってくるのかを理解できない為

その子の 脳の中は
意味と言葉を検索しても出てこないですよね

なので 言葉でも意味づけ出来ず
相手や 養育者の行動にも意味づけができない為

その時に感じた感情を そのまま そっくり
瞬間冷凍させ 持ち続けなければならないのです

そして
養育者との別れは 子供にとっては
生命の危機でもありますが

そんな養育者の行動が 虐待や恐怖を伴う場合は
そこから 逃れないと それはそれで 生命の危機にもなります

「養育者とともに居ろ!」という脳からの指令と
「養育者は危険 逃げろ!」という

相反する指令を常に 出し続けるため
子供の脳は 自らの個体を守る為に

あらゆる手立てを その個体は とり始めます

それは 本当に素晴らしいシステムなのですが

時間がたち かつて苦しめられた養育者がいなくなり
安全な状況になったときに 今迄自分を守っていたシステムが
足枷となってしまうことがよくあるのです

それはなぜか

小さなころに「恐怖の感情をそのまま瞬間冷凍させたため」
それは 溶けずに こころの冷蔵庫の中にあるからなのですね

そして その冷蔵庫には 時間の概念が存在しない為

扉を開ければ
冷風とともに いつでもどこでも
その感情が ドライアイスのように 胸に
ソワ〜っと 広がるからなのです

「じゃあ 扉を開けなければいいじゃん」と
簡単に言いますが

その扉は 何を持って開くのか

ご本人は記憶の奥底に鍵を隠してしまっていることが
ほとんどです

そして その鍵にはリボンがついており

そこにはこう書かれています

「この鍵を使わない方法
それは 偽りの自分でいればいいんだよ」と。

自分を殺してしまえば
トラウマの感情にも触れずにすみますし
日常に溶け込むことも出来る

しかし 自分の無意識は
あなたに 話しかけてくるのです

「大丈夫 鍵を開けて 氷を溶かした先に
あなたの素晴らしい感覚があるよ」と。

トラウマは 一体 脳のどこに存在しているのか

それは概念に過ぎないのか

研究者のなかでも意見が分かれるところですが

「トラウマは 本人の救命措置としてある」

というスタンスを 私たちはとっております

救命措置としてあるのですから
その 装置のなかには
ご本人の 生き様と知恵と賢さが詰まっていると

そして 素晴らしい物語が そこには在るんだと

私たちは トラウマ治療をしながら
そこに触れさせていただいております

オトハラ