あるクライアント様のお話
そのクライアント様は
小さな頃に『温かなぬくもり』のようなものを感じることが少なかったのだという
美味しいご飯や
柔らかな眼差しや
穏やかな諭す声や
手のひらで撫でられるというような体験は
どこか遠くで聞いた別の世界のものでしかなくて
自分には
一人だけ食事を別にされたり
軽蔑の眼差しや
金切声や
何回も振り下ろされる拳しか 体験したことはなく
ずっと怖くて
ずっと震えていたのだと言います
こちらのカウンセリングに来られた当初は
とても堅い印象でした
どうしても核心に触れるのを怖がるのを
ずっと待って
たくさんの言葉を話し 共有し
どのように感じてきたか を
ずっと聞いてきましたが
最近 ご自身で
『自分のルーツを辿る旅に行ってきた』
と教えてくれました
それは 生まれた土地に行き
ここで育ったんだ
ここで私はこう感じていたんだ
ここで私は泣いたんだ
ここでわたしは苦しかっんだ
という事を
『今の自分』と 感じてこられたらしいです
縛られて折檻されたところも行かれたらしく
これは結構すごい事で
フラッシュバックなどをしやすいので
人は避けがちなのですが
よく行ってこられたなあ・・・と思いました
私も 自分がトラウマがあるのだ とわかった後に
自分の生まれ故郷に行ったことがあります
でも行けたのは公園だけでした
公園は遊具の場所などは変わっておらず
ブランコも昔と同じようにあり
そこで私はブランコに座ってみましたが
どうにもこうにも 落ち込みがすごくて
しかも小さな女の子が 優しげなお母さんと連れ立って砂場にきて
たわいもない会話を
楽しげに軽やかにしながら
お花を砂のケーキに飾ったり
水を入れたコップに砂を入れてスープにしていたりをみていたら
ものすごく
自分に何か『欠陥』があるような気がして
頭が痛くて仕方なくなり
逃げるように帰ってきたのを覚えています
私もそのクライアント様も
多くのトラウマサバイバーや 虐待を受けてきた人たちが
必ず通る道として
『親の実態』を理解する
ということはとても苦しい事です
親(養育者)が『実は 〜 だった』
ということを
一つ一つ知っていく過程は
ものすごく残酷で苦しいことがあるのです
そして それは
『無意識がよく知っている』
『無意識』は面白いもので
『嘘』とか『欺瞞』とかもお互いに、あらわにしてしまうのでしょうか
いずれ
無意識がどこまでお見通しかというブログも書きたいとこですが
結構皆様 見破っておられるのですよ、お互いに。
だから
そのクライアント様は
なんとか『自分がどう感じていたか』を
無意識から出そうとしているところなのです
意識では
『もしかして自分が悪い子だったから 親は愛せなかったんじゃないか』
とか
『親にも事情があったんじゃないか』
とかで親を
慮る(おもんぱかる)ことをやめて
『実態』をみる そして 知る そして理解する
親ではなく
『ただの人間だった』ということがわかった瞬間てのは
疲労感がすごいのですが
これは回復の道のりであり
そして次に移行しない
『負の連鎖』を止める道でもあるのです
なぜ 親を慮って(おもんぱかって)しまうのか
それは
とても悲しくて切ない
子供からの親への『慈愛』なのかもしれません
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