語れないこと

我々の『何かを選ぶときの指標』となるものが
あるところに導かれているということはよくあります

メタファーは、言語においては物事のある側面をより具体的なイメージを喚起する言葉で置き換え、簡潔に表現する機能をもつ。わざわざ比喩であることを示す語や形式を用いている直喩よりも洗練されたものと見なされている。

メタファーが用いられるのは、いわゆる”言語”(言葉)に限らず、絵画、映画などの視覚の領域でも起きる。
メタファーは人間の類推能力の応用とされることもあり、さらに認知言語学の一部の立場では、人間の根本的な認知方式のひとつと見なされている(概念メタファー)。メタファーは、単に言語の問題にとどまるというよりも、もっと根源的で、空間の中に身体を持って生きている人間が世界を把握しようとする時に避けることのできないカテゴリ把握の作用・原理なのだと考えられるようになってきている。

(Wikiより引用)

 

難しい説明がなされてしまいましたが

ある物事を表現するときに
オブラートに包んだ言い回しをしたり
似ているものに例えたり・・ということもありますが

今回ブログに書きたいのは
もっと複雑的で無意識的なメタファーのことです

 

絵画とか音楽だとか
映画だとかの表現の中で

意図していることを

『少し違う角度からわかりにくく、でも本質をどこかしらで刺激して感じ取れるようにする』
ということを目的としているもののことです

 

この『本質』というものは言葉にしづらい概念的なものの中心となるものを
この場合は指しています

永遠の人類のテーマである、例えば『愛』『ラブ』なんかも
実は概念でしかありません

味も、匂いも、触れる実体も、実態もないものですが

『でも在る(気がする・・・)』

ということで
色々な時代の中で、その概念の中心となる部分を刺激するような表現やアートが
多く世に出されました

 

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愛をテーマにした絵画や表現は
この世に余り在るほど在るのにも関わらず

『愛』というものは
いまだに人それぞれによって解釈が違います

それなので、人間は
『自分の中の愛の概念を刺激するもの』を欲求し続けます

 

ある人は『愛』は『性』なのだと言い
そのあたりの表現をすることで『愛を描いた』なんて言われるし

 

別の人の中では、『いやいや、愛ってのは親子愛でしょ』
なんて感じるから『母を訪ねて三千里』のような
『親子の物語』ってのはいつの世の中でも関心の的ですし

 

苦しみの果てにたどり着いた到達点こそが『愛』だと感じて
その道のりの師弟愛が堪らないのだ・・と
ひたすらにマラソン中継などをみてしまう人なんかもいるかもしれないし

 

世界中で多くの『実態がない愛』は『在る』として
追求し続けることこそが『愛』なのかもしれないよなあ・・
・・なんて思う人もいるかもしれない

 

 

それだけ『うまく言い表せないもの』というものが
この世の中には存在したりします

それを、色々な方法で
世の中の人たちは『直接の言葉』では伝わらない!!
・・と
様々な方法で訴えかけようと表現をするのですが

でも、その表現の方法にも
よく見てみると法則性のようなものが存在したりします

 

さて、そんな中で
一番最初のメタファーとしての一番の影響力を持ったものは
『神話』だと言えると思います

神話は世界中のそれぞれの地域の特徴を
上手く取り入れながら発展してきたものです

例えばよく言われるのは古事記の中の『ヤマタノオロチ』は
頭が八つある大きな大蛇として出てきて

毎年、生贄として娘を所望するのだが

素戔嗚(スサノオ)の神様がそこに居合わせて
退治するという話があります

そして無事に、生贄にあるはずだった娘と結ばれて
子供をたくさん授かり
その1人が、こないだブログにも書きましたが
うさぎに予言をされる大国主の神様だということに繋がっていくのですが

 

このヤマタノオロチは
実は『川』だったのではないか

という文献の読み方があると言います

『毎年荒れ狂い、氾濫する川を治めた』というメタファーだったのでは
という読み方があるのです

 

日本の地名をみると
『蛇』だとか『龍』のつく地名は水の害が起こりやすいからと言われますが

水が流れ出ていく様子というものは
確かに蛇や龍が動いて移動する様子で表すのが
一番恐ろしげでかつ危険を伝えるのに一番良いからと

そのような名付けに至るということがありますが

 

そうなのです

メタファーというのは
案外、わかりやすい身近な『何か』をモチーフにしていることが多いのです

 

メタファーとは
『言葉ではいい表せないもの』を
身近なわかりやすいもので表すもので

おそらく一番メタファーで表現されるものは『愛』だと思われますが

『母性』なんかも
メタファーでよく神話などでは描かれております

『母性』は(フェミニズム観点からはさておき)
今生きている方は
いずれにしても『母親から生まれ出でてきている』ので
必ず男性も女性も『母性的なもの』をどこかしらで感じ取っています

その『母性』は慈愛に満ちているニュアンスで表される時も
ありますが

物語で、面白く展開していく『母性』は
どこかしら陰気で貪欲なイメージで描かれていくものが多いのです

 

特に『母性』が負のイメージで展開されたものとしては
『魔女』があります

ぐつぐつと大きな鍋で薬草を煮込んだり
まじないの言葉を知っていたり
魔法の道具としてホウキ🧹を使うところなんぞは、まさにそう。

お台所で、得体の知れぬ何かをしている・・みたいな
ニュアンスが母性と相まっているのです

 

また神話では、夫の神が浮気をして
憤るのは必ず妻である女神という構図が多いのも見逃せません

女神が、夫の浮気相手に魔法をかけて
お花にしてしまった・・なんていう神話は世界中にみられます

 

そして、(個人的に嫌だなあと思うのが)
女性が年齢を重ねるに連れての、その変貌ぶりを
どこかしらで揶揄するような

『変化』を男側が受け入れないという構図もよく神話では
見られるので

いずれの時代も、どこの国でも
女性の、その『歳を重ねることは不幸』だというイメージを
モチーフにした物語は

女性としては、自分の身体の変化を
幼い頃から『恐怖』としてのメタファーを植え付けられてしまうよなあ・・と感じたりするわけです

 

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話は少し変わりますが『影』というメタファーも面白いものがあります

心理の世界では『影』とは
自分の一部であり、必ずつきまとい

自分の動きを真似して
大きくもなり
小さくもなる存在でありますが

昔から影を踏まれる
・・もしくは影を失くすということを
古代から人々は大変に恐れていました

科学が発展した現代では、日常にある影なんて
気にも留めないでしょうが

大昔の未開人からすると『影』とは『魂』でもあり
影は本人と分離すると、その本人が死んでしまうとまで
されていたくらいの存在でありました

そして実は、その伝承は日本にもあるのです

 

私は小さな頃に松谷みよこさんの著作の『小さなモモちゃん』
という本をよく読んでいたのですが

その物語の中で、主人公のモモちゃんは影をなくして倒れているところを
お母さんに発見されます

お母さんは一大事!と朝ごはんの目玉焼きとサラダを盛ったお皿を盛ったまま
方々に訊いて廻り『牛鬼』がモモちゃんの影を咥えて逃げていったという
情報に頼りに

牛鬼を見つけに行きます

見つけた牛鬼はとてつもなく大きな牛鬼でしたが

勇敢なお母さんは
モモちゃんの『影』と交換条件に、
お母さんは『塩』をあげて
見事『影』を取り戻してくるというお話

 

 

この『牛鬼』の話を読んでいると、いつも
どこか

『牛鬼はいる』

という感覚に襲われてしまい
子供心ながらに
なんだかこれはやばい気がする・・と思っておりましたが

 

大人になって

『にんべんに、牛』と書いて『件』

これを『くだん』と読み
予言を行う牛であるとか

その存在自体を、口にすることすら憚られるために『くだん』と言うと知り

もしかして
あの牛鬼は、物語ではなく妖怪なのかも・・なんて思いながら
二十数年経った、今

 

なんと『くだん』は存在するのだと分かるのです

 

それはあるクライエントさまから教えていただいた情報で
そのクライエントさんのご子息が神妙な顔で
妖怪の図鑑のお気に入りのページに書いてあることを口に出して読んで

『牛鬼は殺してはダメなんだ 殺したら、その人自体が死んでしまうんだ
だから追い払わなくてはならないんだ』

と言ったそうな

 

その頃、ちょうど
そのクライエントさまとは『妖怪との縁切り』をテーマにして
カウンセリングをしていたののだが

なにしろ相手の妖怪が強力すぎたので

戦法を変えたところだったのと

予言をする妖怪っているのかねえ・・というところを話したばかりだったので
驚いてしまったのだ

 

妖怪と言っても
それはイメージの世界での、見方でしかないのですが

でも日本人は森羅万象、傘にさえ妖怪に変幻して『唐傘お化け』になると言う
精神世界をもつ民族なので

そんな折に、ご子息が
ヒントをくれたと言う采配に驚いたのだが

 

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長くカウンセリングをしていると
説明のつかない不思議をたくさん見るものだよ

と言ったのは
禅の先生であります

とりあえず、治ればいいや

思って長く続けてきた仕事でありますが

スピリチュアルが嫌いなのに
こんなにたくさんの不思議に毎日触れていると

メタファーとして伝承されてきた
『語りづらいけども語らなくてはならないもの』を
垣間見たりするのです

   

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