菩薩の手

普段、意識していなくても
『身体』というものは
その人本人、つまり自分自身の世話をしています

手は熱いものに近づくと意識が熱を感じる前に引っ込めます

ボールが飛んできたと認識するか、しないかという刹那の瞬間に
目は瞬きをしします

何かが自分に当たる!と認識するかしないかの瞬間
身体は自分自身を硬めて防御の体制をとりダメージを少なく受け取るように
瞬時に身体中に力を込めます

右手と左手はそれぞれの仕事を受け止めます

頭を洗う時には
片方の手がシャワーをもち 自分の頭にお湯がかかるように位置をとり
もう片方の手は頭から泡を流すような動きをします

『手』同士はお互いがお互いを邪魔しないように振る舞うことができます

どこかが痒かったら痒みの位置を突き止めて迷いなく掻きます

手が身体のどこを痒いか・・と探すことは滅多にありません

そのように身体の格部位はお互いにお互いの位置を把握し
身体が生命を維持できるように
常に働き続けています

それは『意識』が維持させているわけではなく
いわば『無意識』の領域です

 

禅の公案(問答集)というものがあります

公案とは『深い真実を体験させるための質問』です

数はおよそ1700案あるといい
禅宗で修行僧が参究する課題のようなもの

面白い問答なのですよ

有名どころとしては

『両手を叩くと音がする。では片手の音とはなんだろう。(隻手の声)』
という問答

深い真実を体感するとこれに相当する『解』のようなものが分かる
・・分かると言っていいのかわかりませんが

解のようなものが降ってくるというか
解が在るということを体感するらしい

私はこの禅宗の公案が好きで
よく現代催眠の先生から禅の問いをかけられたりしていました

犬は悟っているのか・・
空に眺める月はいくつあるか・・なんていう問いもあった

なぜその解なのかという理由も喋らされる訳ですが

禅のお寺だととても厳しいらしく
『解』が違っていると
その場ですぐ『帰りなさい』と言って帰らされるなんて話も聞いてました

とかく自分でその解が実感できる境地に辿り着くしかない

なんて面白いんだ と当時の私はワクワクして通っていたのですが
とにかく瞑想が私の場合キツくてキツくて仕方なかったのも覚えています

意識で起きている時は封じ込めている『箱の扉』も
瞑想により
意識が薄まる訳なので開いてしまう訳です

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話がそれましたが
その公案の中で『観世音菩薩はどうやってあんなにたくさんの手や目を使うのか』
という問いがあります

それに対して
和尚様は答える訳です

『眠っている人がずれた枕を手で探って直すのと同じようにだ』
という解があります

眠っている時は意識が上がってこない

しかし
無意識で身体が行う『行い』と『観察力』のようなものが
それらを自然な状態に導くようにする

身体が『自分自身』のために行う『動作』のようなものもそれに近いものがあります

とかく『生命維持』のために身体は一瞬一瞬動く

心臓の動きも
汗による体温調節も
まぶたのまばたきもです

いえ
身体の働きだけではないかもしれません

何かの病気ももしかしたら何かの表れなのかもしれないと思う時があります

解離などのシステムは明らかに
その生命体が壊れるのを守るために働いた防護(防御)システムだなと思う時があります

 

私たちの普段の行いは
初めは『意識』して出来るようになった動きや行いが
無意識に入り込んでいき、それが自動化してしまったシステムに乗っかって生きているようなところがあります

私たちは 
考え方や価値観も
最初は『意識』して
それを飲み込み(間に受け)自分の血肉にしてしまっているところがあります

血肉になれば
それらは自動化され
『癖』として、その生命体の一部として生きていくようになります

カウンセリングでは
自分にとって『不便で迎合しにくい』その『癖』を取り除いていくということを
重要視しています

いわゆる『自分のものではないもの』を取り払っていくのがカウンセリングの肝です

やっていることは
『瞑想』と同じような方向性だよなとも思うのです

身体が自己を守るといった素晴らしい『仕組み』につながることが
悟りに近いのかもしれません

それは無意識の領域にあり
コントロールできないとこに在るのですが

まるで深海を潜っていくような雰囲気もあります

最初は息が続かないような感覚になるのも瞑想アルアルですが
コツを掴めば
その息が続かないような感覚が
次第に何故か息が続きながら深海に潜っていくような感覚になります

そこからが真骨頂です

   

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