世界を恐怖に見させる眼鏡

自分を取り巻く環境は
『自分の色眼鏡』によってにしか見えないものだ

 

という小難しいことを
禅の先生はよく言っていた

先生は『現代催眠』を研究し尽くしてきて

そしてその境地に至ったのだと思うのけれども

私も実際のカウンセリングの臨床を通じて

『本当に人は、自分で思い込んだ世界を、世界と思い込んでいるなあ』
と思う(それは自分も含めてだけれども)

 

ある人は
世界を祝福に満ちたものと捉えていて

ある人は
世界を奪い合うものと捉えていて

ある人は
世界を恐怖と捉えていて

ある人は
世界を哲学的な世界観で捉えていて(捉えようとしていて)

・・と
皆んな一人一人
それぞれに違う捉え方をしていて
それを先生は
『世界を色眼鏡で見ている』と表現していたなと
折りに触れて思い出すのだ

 

さて、その『色メガネ』とやらは
自分で選んで掛けたものとは限らないのです

他人から『ほら、こういうものですよ』と
無理やり色眼鏡を渡されて
強制的に掛けさせられてしまったものもある

その『色眼鏡 作成・波及委員会』なるものも存在しますが
その方たちの活動はさておき

その方たちは、とてつもなく押し付けがましいものですから

押し付けられて困ってしまう代物もあるのです

 

そんな色眼鏡を外したくて
困ってカウンセリングのこられる方がほとんどなのだけれども

『外しなさいよ』となって
いざ外すとなると

『え・・やっぱこれ皆んな掛けてるぽいし
外したら どう見ればいいのかわからない』

外さない選択をされる方もいらっしゃいます

 

そういう場合に
こちらに強制権はないので
『色眼鏡を所持することを選んだのだな』
と思うだけなのだが(そこに良いも悪いもない)

でも、この色眼鏡は
苦しみをもたらすものではあるので

やはり外したい・・でも外すのは怖い・・と
葛藤される方が多いのです

 

やはりカウンセリングで一番時間がかかるのが
このあたりですが

色眼鏡を製造する人、そして波及させる人というのは
なんだか、私にとっては『面倒くさい人々』だなと感じます

お近づきにはなりたくない

 

これと同じ感覚になる『本』としては
やはりミヒャエル・エンデの『モモ』です

『モモ』は、人の話に耳を傾けるのが得意な女の子で

だから町の人たちはモモのことが大好き

モモに自分の話を聴いてもらっていると
自分のアイデアが湧いてきたり
勇気が出てきたり
孤独が癒されたり
大事なものに気づいたり
ということが訪れるので

何か困ったことがあるとモモのところに行くのです

そしてモモがやることといえば
ただ話に耳を傾けること。

 

自分の話をするというのは、なかなか難しいものです

自分が感じていることなのか
他人から感じさせられてしまっていることなのか
それとも
他人を感じすぎて動けなくなってしまっていることなのか


『自分』の中を話すとなると
非常に『他人からの目線』が多く含まれていることに気がつくものです

 

それも含めて、じっくり話をモモに聞いてもらっていると
町の人たちは
『自分がどうしたいのか』に気がついていきます

そうすると
あとは実行のみ

生きるということが非常にシンプルになり

また『生活をする』ということが
いかに自分自身を支えているかに気がつくのです

 

人は、自分の命を生かすためには
必ず食べ物を食べて
洋服をきて
家を整えて・・とありますが

それを1から自分で創り出すのは困難です

だから『仕事』として、誰かを生活を支えながらも

自分も『誰かの仕事』で支えられて生活しているのだ

というシンプルな構造の中で

『尊敬』『謙虚』などが生まれてくるものです

 

しかし、色眼鏡を持つ『灰色の男たち』が近づいてきて
人間の時間を搾取しようとするのです

目的は『灰色の男たちは奪った時間で生き延びることができる人種だから』。

なので灰色の男たちは
言葉巧みに町の人たちのところへ出向き

『いかにあなたが損をしているか』ということを
説いて回ります

仕事を早くやれば、これだけ節約できる

無駄な他人との語らいをやめてしまえば
これだけ、あなたは時間に得をするんだ

と催眠をかけていくのです

 

この催眠が『色眼鏡』の正体です

結局、人間は
温かな交流を求めているのに

その交流さえ、『無駄』だという色眼鏡を売りつけられてしまい

一生懸命に
時間を効率化して
ひたすらに駆け足で生きる

 

次第に、町の人々は
何かおかしいと疲弊していきますが

もう、周りの人も同じ色眼鏡をかけているので
なかなか自分だけ外すということもできないのです

だって、周りが『何かを溜め込んでいたら、自分も溜め込まないといけない』

何が起こるかわからない未来に恐怖して

『今』を感じるということを捨てて

来るかわからない『未来』を避けるために
必死で動き続けるのです

 

 

 

さて、今の現代も
この『モモ』の物語と同じようだなあと感じるのですが

結局人間は『未来』は動かせません

自分が今願う、幸せな未来に繋げたいのならば
今すぐ立ち止まって
『今』幸せを感じる行動をするしかないのです

誰かと未来で笑い合いたいのならば
今、すぐそばにいる隣人と 心から笑うようになるしかない

 

結局、町の人たちは
『恐怖』という色眼鏡をかけられて
灰色の男たちと契約を結んでしまった

モモは灰色の男たちと戦って
町の人たちの時間を取り戻すのですが

私も、この色眼鏡
売りつけられてる気がするよ!!笑

 

契約はしてないと思うのだけれども

もしかしたら昔
親が私に買って、掛けさせたのかもしれない笑

むしろ母親が『売人』だったのかもしれない

・・というわけで
色眼鏡は要らないと
捨てようとするたびに

押しかけセールスのように『恐怖』をダシにして
どんどん売りつけようとしてくる存在がいることを忘れてはなりません

 

色眼鏡は、かけると
もっと恐怖が見えるようになるものですから
悪どい商売です

   

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