世代を超えて受け継がされてしまうもの

私がカウンセリングで『家族カウンセリング』と銘打っているのには
訳があります

ある方が、こちらにお困りの症状で来所されたりします

例えば
動けない・・とか
不登校だ・・とか
強迫性行動が止まらない・・とか
アレルギーがひどい・・とか
仕事に行こうとすると動悸がして動けなくなる・・だとか

身体的な症状として現れていることがよくありますが

実はそれは元を辿っていくと

誰かのトラウマを背負っているということが多々あります

 

ほとんどは親のトラウマを子供が背負うということが多く見られますが

こちらで、その困っている方を治癒したとしても
またトラウマを背負うことになってしまったら
しんどい想いをまたすることになるので

カウンセリングでは
その方の『周囲』も見ていく必要があるのです

 

世代間連鎖という言葉があります
これは
虐待を受けた子供が、
大人になった時に自分の子供に対して
親からされた虐待を繰り返してしまうというものです

私のところにいらっしゃる方の多くは
この世代間連鎖を何かしら受け継いでこちらにいらっしゃいます

 

虐待と言っても、わかりやすい虐待ばかりではありません

暴力、身体的虐待は子供が大人になった時に
『あー・・自分は虐待を受けてたんだ』と実感しやすいのと
また虐待をしてくる親に対して『抗議の意思』を持ちやすいので
割と早く世代間連鎖に気づけるというのがあります

しかし
世代間連鎖というのは
それこそ見えない鎖のような様相をしているところがありまして

例えば『優生思想』を持っている親からの世代間連鎖
などは非常にわかりにくいしご本人も自覚しづらいという側面があります

こちらにいらっしゃるかたの多くは
この『思想的な世代間連鎖』に苦しんでこられる方が多いのです

 

例えば宗教なんかも世代間連鎖の最たる例となります

『何を信じたいか
自分にはどういう感受性があるか
世界をどう捉えるか』

という自分だけの感覚は
とても大事なものですし本来は損なわれないものです

しかし幼少期に『神は人を裁く』や
『神に背いたものものは地獄に落ちる』などという

『罪と罰の思想』を世代間で受け継がされてしまった場合は
非常に苦しむことになってしまいます

 

親からの思想は『催眠』や『洗脳』に近いものがあります

そんなことを言ったら子供を育てられないじゃないか・・という声も聞こえてきそうですが

現場の児童精神科医などは
親の思想を押し付けるのではなく

とにかく『衣食住』を整えて子供がぐっすり眠れるように育てる

ということを第一に仕切り直しをします

 

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さて私が精神と心理の仕事に入ってきた時に
不思議に思って色々探し回ったことがあります

何を探したのかというと『催眠のとき方』というやつです

世の中には『催眠をかける』やり方は数多くあれど

催眠をとく
洗脳をとく

というやり方は皆無に等しいものでした

これじゃあ、催眠カケホーダイじゃないか・・

とすごく恐ろしくなったのを覚えています

 

というのも当時の私は
『無意識をどう使うか』や『催眠をかけて思い通りになる』
などの方法ばかりを目にしていたのですが

大体は『もっといい仕事に就きたい』だとか
『家族を自分の思うようにしたい』とか
『好きな人を振り向かせたい』

だとか
『欲望の権化』がそこに見えて

操る人と 操られる人

それまで他人から操られていた人が
向かう先は『操る人になりたい!』というのが

どうしても理解できなかったのです

 

だから『欲望』というものに興味を持ち
欲望とは一体何なのか

そもそも欲望はどこから派生するものなのか

欲望も遺伝するものなのか

などをカウンセリングでは見るようになってきました

 

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そこで世代間連鎖の話の戻るのですが
欲望というのは割と親から催眠的に遺伝しがちなものです

親が見栄っ張りだと
子供もどことなく後めたさを感じながらも
人の目線が気になって仕方ない・・だとか

親が性的欲望が強めだと
子供はなんとなく嫌悪感と恐怖と快感とを織り交ぜた感覚を感じ取るようになり
パートナー間との関係性がどことなくギクシャクしてしまいがちだったり
避けるようになってしまったり

だとか

また親が『復讐心』という欲望を持っていた場合
例えば夫に対して妻が従順にさせられてしまっているなどの場合
子供は、母親に同情をしてしまうので
将来的に家族を持つことが怖いだとか

または父親が母親に命令したり威圧的だと
息子は父親のそういう姿を
『男のかっこいい姿なんだ・・!』と勘違いしてしまい

父親を模倣した家族関係を強要するようになってしまい
妻から三行半を突きつけられるなんてこともよくあります

 

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どれもこれも『親の欲望』の在り方を
子供は取り込まざるを得なく
取り込んでしまうところがあり

そういう方は、『生きている実感がない』とか

『楽しい感覚がない』

など
訴えとしては

『自分の感覚がわからない』というものが多く見られます

 

家族カウンセリングで見ているのは
こちらにいらっしゃるご本人様だけではありません

背後に見える、その方の家族構成もよく見ています

親御さんだけではなく
そのおじいちゃま、おばあちゃま・・と先祖を辿ることをします

お困りのことの原因はご本人様にあるということが
実はあまり無いのです

 

むしろ原因を深く深く辿っていくと

とても悲しい歴史にぶち当たることがあります

そこまでカウンセリングで
要望があれば見ていきますが

あまりその原点的なものに深掘りすることは無いです

例を挙げるとしたらば
『飢餓』だとか『階級制度による罰』だとか『部落差別』『宗教差別』
『家父長制』だとかが上がってきますが

どれもこれも今は表立っては『無きもの』とされていますし

この思想や考え方は『危険』とされて廃止されたり
言葉を変えたりしてありますが

実は家族、一族の中では
内々に差別意識として引き継がれていたんだな・・ということを目の当たりにして
なんとも言えない気持ちになることがあります

それが冒頭で書いた『優生思想』に集約されるというものです

 

どうやら『差別』をする人間は快感を感じるらしいのです

親という方々にも、それぞれに親がいて

その親にも
また親がいる

親の快感というものを
子供は敏感に察知して
でも快感でもあるがなんとも苦しくて仕方ない

その怪物的なものが
受け継がれることで
地面のしたでまだ脈打って生きている姿を見る時

表で生きている、その人だけを
どうして責めることができましょうか

と思いながらカウンセリングをしております

家族全体を見るのには
そういった理由があるのです

   

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