ブログを去年の秋あたりから
かなり頻度を減らしているのですが
それまでは三日に一度の頻度を保って更新してきました
当時は
カウンセリングで日々、思うこともとても多く
そして何より言葉が溢れてきて止まらなかったのもあります
毎日毎日、悩みが持ち込まれて
それに対して、本当に強く感情を揺すぶられてきました
カウンセリングというのは『感情労働』です
クライエント様たちから持ち込まれる苦悩や悲しみに対して
自分の『感情』をある程度は使いながら
一緒に見ていく作業となります
自分自身の感情を使うという仕事を
最初は興味深く、自分自身も眺めておりましたが
徐々に
自分の感情の『出どころ』のようなものに触れることが多くなってきました
感情の原点というものは
不思議な場所で
私には光のように感じることがあります
どなたの感情も
まるで『何かが訪れた』かのような発光をしています
その発光体を眺めていると
宮沢賢治の『春と修羅』の中にある
わたくしといふ現象は
仮定された有機交流電燈の
ひとつの青い照明です
（あらゆる透明な幽霊の複合体）
風景やみんなといつしよに
せはしくせはしく明滅しながら
いかにもたしかにともりつづける
因果交流電燈の
ひとつの青い照明です
（ひかりはたもち その電燈は失はれ）
を思い出します
人の感情というのは
他者との関わり合いの中で
摩擦により、照らし 照らされて
それを私たちは『自分の感覚』として受け止めているのかもしれないなあ
とぼんやり思うのです
自分の感情は
他者の存在があることで
何かを感じて、感じさせて続いていくものよなあ、と。
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日本人が『タイミング』という言葉を好んで使う傾向があるそうです
考えてみれば不思議な言葉です
時間を意味する『time タイム』に『ing』をつけた『timing タイミング』は
本来英語では『時機』や『間の取り方』といった意味を持ちますが
日本語で『タイミング』という語を使うとき
そこには まるで『時間自体に動きがある』
そんな感じがあるような気がします
もちろん時間は動いているものですが
あたかも時間自体が 何か能動的な意志をもった動きのあるものとして捉えるような
そんなニュアンスを持つ言葉を
日本人は好んでよく使うようです
確かに『今がそのタイミングだね』とか
『タイミングが合えば〜』なんていう常套句をよく耳にします
今日も、あるクライエント様と話していたことなのですが
『自分がどうして生きているのかわからない』
という問いをどうしても考えてしまう
というお話をしておりました
そんな中で、私も『確かにその問いはわからないよなあ』とも思うのですが
そんな時に
師の1人から教えてもらったお話を思い出すのです
『私たち、一人一人は海に立ち上った、波の一つなのだ』
というお話です
海から立ち上った『波』の一つ、一つが
どうして生まれたかと、波は考えるのだが
それは『海の意志』でもあり
『波の動きは、海の働きでもある』
というお話
海がどうして生まれたか・・というのは波には到底分からず
でも波自身も、海の一部だから
波は波だけではなく、海として自分を感じることもあるかもしれない
・・といった
まさに現代催眠の真骨頂でもありますが
それを語ってくれた師の静かな言葉を思い出すのです
タイミングという言葉を多用するのは
その大いなる海の動きを
日本人は 深いところで感じているのかなとも思うのです
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そしてまた
この仕事も中堅となり始めて
言葉が、溢れ出てくる時期を過ぎて
私は深く哀しい『場』の感覚を感じることが多くなってきました
言葉では、到底及ばない『場』の存在を無視できないようになって
きてしまいました
なかなか、この『場』の存在を感じるということは大変なものです
そして、何より
カウンセリングに来られる方の多くが
その『場』に通じている経験を持っているというのが
また面白いところなのです
『言葉』では説明できない
そして『感情』の原点に非常に近いところを触れた経験が
おありになる方の多いことよ
この『言葉では言い表せない感情の場』というものは
別名、『深淵』とも呼ばれるものです
深淵を覗くものは、深淵もまたこちらを覗いているものだ
・・とはニーチェの言葉でもありますが
自己の深みを見ざるを得ない時に出現する
あの境界線は、決して怖いものではありませんが
しかし、少し『お付き合い』のコツが必要なものでもあります
覗き込みすぎると深みにハマってしまうからです
まるで『波』が海を潜る・・というようなものでもあります
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