私が診てもらっている医師のお一人は
精神科医だけれども
その先生は本を出していて、その本はアマゾンにもある
先生は解離の人格の中にいる者として『憑依した人格』というか
『取り込んだ(取り込まされた人格)』がいるというスタンスをとっていて
その認識は今以てもなお議論されているのだが
私のスーパーバイザーだった医師も
その『取り込んでしまった(取り込まされてしまった)人格』はいるという認識を持って
私に指導してくれたので
私にとっては馴染みがある説であります
ちなみに人格は1人ではなく複数の場合がほとんどです
さてそのアマゾンの評書、レビューを読むと
割と辛口のことが書かれていてウウム・・となる
一度そのことについて話したことがあるのだが
精神科医の中でも色々な流派があって
色々な説をそれぞれに唱えていて
まだ定まったものはないという
なので
解離性同一性障害は解明されていない症状であり
色々なスタンスの方が『解離』というものを捉えているのだと感じる
こう言っては何だが
症状というより、これは『能力』に近いニュアンスがあるよなというのが
現場の声だと思っております
どちらの医師も『症状』だけれども、でも『未知の可能性』が
かなり含まれている部分だともいう
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さて、では
私のところにいらっしゃる解離性障害の方を見ていると
何とも不思議な気持ちになることがあります
そもそも解離とは
『情動的苦悩を避けるために、自分のパーソナリティまたは自分の同一性を
一時的だが、徹底的に一部変更すること』
つまりストレスが多大にかかった時に
自分の感覚を全く無きものにしたり
もしくはこれは、自分に起きたことではない・・と他人事のように
捉えることで自分を守ったりすること
ということ
一時的だが、でもその一時的が、本当に切り離されて
自分のその時感じたことが
まさに宙ぶらりんの状態で、意識のどこかに落ちてしまっていたり
記憶の中でも『他人事』というカテゴリーの中に入ってしまっていたり
もしくは自分の存在自体が苦悩となってしまった場合は
もうすっかり丸ごと自分というものを否定しまくり
自分から切り離して
全く違う自分をどこからか模倣してそれで生活しているとか
とにかく『自己』という認識を
自分自身に対して感じようとした時に
『あれ なんかよくわからない感じ』だとか
『他人を眺めているような感じ』だと思っている方は
もしかしたら解離性の兆候があるのかもしれないけれども
でもこれはスーパーバイザーが言うには
『進化した防衛』なのだそうで
昔はあまりこういうストレス対処の仕方をする人はいなかったが
近年よくこの解離という防衛方法が多いらしいです
先ほど、そのよく論点となっている『取り込んだ人格』のことに触れましたが
そのとりこんでしまった人格の扱いが
よく論争のもととなっているし、現場でも混乱のもととなっているなあというのは感じます
私のスタンスは取り込んでしまった人格はいると感じるのですが
今回はそのお話
取り込んでしまった人格とは
取り込まされてしまった人格とも言えると思って見ております
ご本人は『不本意』ながら
この考え方は『ダウンロードしとくべきなのか』もしくは
『この考えに支配されなさい』とその大元となる人物に
思わされてしまったか
どちらにしろ『迎合』というニュアンスを感じます
不本意ではあるけれども、仕方なく『飲み込まされてしまった』感じが
見て取れます
なので自分の中にアンビバレンツな部分があることを
自覚することで
その『異なる人格』と距離が取れるようになってきます
しかし、中には
迎合しすぎたか、異なる人格と一体化してしまったかで
どうにも切り離しが取れない場合もあります
でも、カウンセリングに通われているということは
何とかして『自分を取り戻したい』という意思の表れなのだと感じます
この、異なる人格を『異分子』と表現したり
ある医師は『黒幕さん』と表現したりしますが
どちらにしろ
自分の身体に、自分とは異なるものが同居しているので
何か行動をしたり
何かを選んだりする時に
自分の中で『命令』する声や『ダメ出し』する声がしたりして
それは自分の行動を阻んだりすることもあります
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解離には段階がありまして
解離が酷くなるとその『異分子』が生活や行動を勝手に営み始めてしまうという状態になります
いわゆる『解離性同一性障害』です
自分自身ではない人格が
困った行動をする・・というところまできて初めて治療に至るケースもそれなりにあります
例えば、朝起きたら食べた記憶がないものがテーブルに散乱しているとか
買った記憶がないものが家にあるとか
周りの人に『この前、あそこにいたでしょ』と言われても
さっぱり記憶にない・・しかし言ったような形跡はある
などなど
自分なのに
知らない行動をとり始めるというのが『困った症状』であります
私ごとですが
いつのことか、身に覚えのない通帳が出てきまして
結構な大金が入っていたのですが
そのあと一切の記帳がされていない
おかしいなあと思って記帳を頼んだら
(地方銀行だったので近くに支店がなかった)
記帳されてきたのは、細かな出金の記録だった
しかし記憶が一切無くて、慄いた・・ということがありました
仕事はしていたので盗人をしてしまったとかの犯罪とかは
していないと思うのですが
なんせ記憶がないので怖い
細かく出金しているのであれば
その記憶の一つでもあるものだと思うのだが
でもカードも無くて身に覚えも無くて
改めて怖いなあと思った次第
などと、自分の生活のどこかを誰かが占めているのかも・・と
自覚する瞬間とやらは恐ろしいものです
これが解離性同一性障害というもの
その段階の前段階は
解離性障害といい
異分子の人格が、全く知らないところで活動はしていないが
でも自分がなぜ、こんなところで怒り狂うのかわからない
・・と思いながら
でも怒り狂う自分がいるとか
ある特定の場所や人物に合うと
自分ではないような振る舞いをしてしまうところが制御できないとか
それをどの方も
揃っていうのが『自分ではないモードに入ってしまった』などと表現される
これは異分子が『一つの人格として独立』とまではいかないが
暴走して、それを自分でも止められないという状態です
またご本人は自覚されていないけれども
細かく時間帯によって
色々なモードに入ってしまう人もいるし
ある特定の(それはほとんど近しい人相手が多いが)人物に対してだけ
おかしな要求をしてしまったりする
などの表現で自分のことを言われたりもします
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カウンセリングでは
もちろんご本人がいらっしゃらないこともあります
最初から、その異分子的な違う人格やモードでいらっしゃることが割とあります
その場合は
裏に追いやられてしまっている『本当の自分』のご本心を起こす必要があったりします
しかし『異分子』はそれを阻止しようとしたり
邪魔したりするところがあるのです
カウンセリングでは
『途中で辞めたくなったら無理して通わなくても平気
でも来たくなったらすぐ来れるから
いつでも予約するようにしてくださいね』
とお伝えしています
その黒幕的な異分子が激昂して
あらぬことをカウンセラーに言ってしまって
後から本当の自分のモードに返った時に
『ああ 何でこんなこと言っちゃったんだろ・・』と
なるものですが
その後気まずくなり来れない・・という方が多いからです
でも、その気まずい時こそ
カウンセリングで進めていったらいい時期なので
ぜひ勇気を出して
恥ずかしいなどと思う必要はないので
通ってきたらいいなと思います
回復されていく方の多くは
カウンセラーに(私乙原に という意味です)
『言えなかったことを叫びます』
多くは怒りの表現だったり、なじりたい・・とか
文句言いたい・・とか
依存したい・・とか、助けてとか
見捨てないで・・とかのシンプルな叫びです
その叫びこそ、本当の自分との繋がりが貫通する大事な
『押す力』なのです
まだまだ解離という症状や状態は、確かに未知の部分が多いですが
でもこれは
可能性に満ちた症状でもあります
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