解離性障害と解離性同一性障害の今

 

 

解離性障害についてのお話

①解離性障害(Dissociative Disorders)

②解離性同一性障害(Dissociative Identity Disorder: (略して DID)は、

どちらも「解離(dissociation)」を中心とする障害群ですが、以下のように明確な違いがあります

 

解離性障害とは

定義:
解離性障害とは、記憶、意識、自己同一性、身体感覚、知覚などの統合機能が一時的に失われる精神障害の総称のことを言います

代表的なタイプとしては
1. 解離性健忘
• 自身に関する重要な記憶を思い出せない(特にトラウマ関連)
2. 解離性遁走
• 記憶喪失に加え、突発的に遠方へ移動し、新しい身分で生活する
3. 離人感・現実感喪失障害
• 自分自身または外界が現実でないように感じる。
4. その他特定不能の解離性障害
• DIDの診断基準を完全には満たさないが、解離的症状が強いもの

があります

トラウマをお持ちの方は、なんとなく当てはまることが多いかも・・・と
思われることがあるものです

 

ではもう一方の

解離性同一性障害(DID)は・・と言うと

定義としましては
かつて「多重人格障害」と呼ばれたDIDは、2人以上の明確に異なる「人格状態」が交代で現れる障害です

各人格はそれぞれに自己意識・記憶・行動様式を持ち、時には互いの存在を知らない場合もあります。

主な特徴:
• 時間の喪失(ブラックアウト):別の人格が前面に出た時間帯の記憶がない
・・・・これは時間帯の記憶がないことから
クライエントご本人様の口からは、なかなか自覚しづらく
診察の場面などで質問されて初めて『記憶がないかも・・』と
自覚される場合が多いです

• 人格間の記憶の断絶:ある人格が体験したことを、他の人格が覚えていない

・・・・これも自覚がないために、実際のセラピーや診察などで
質問されないと自覚できないことが多いです

• 交代人格が明確に存在:名前や口調、年齢、性別、態度が異なることも??

・・・・ただ、実際のカウンセリングや診察などでは
背後にいる交代人格は『気付かれたら存在自体が危うい』と
考えていることが多いため、
名乗り出ると言うことが余り見られないです

私も、実際のクライエント様で明らかなDIDだとされていて、かつ
人格たちにそれぞれに名前が付いているという状態の方に出会ったのは
ここ8年間、のべ1万人以上の方々を見てきましたが、お2人だけでした

ほとんどのDIDで、かつ交代人格は
自分の存在を知られることを非常に恐れています

 

さて、どうしてその交代人格は、名乗らないのか?ということなのですが

そもそもDIDになるきっかけは
多くが性に関連するトラウマがある方たちです

性的トラウマ・・というと、『何かイタズラされたのかしら?』と
自分の過去を思い出されて首をかしげる方もいらっしゃいますが

性的トラウマというのは、何も『身体的接触』だけではありません

『男の子なんだから〜〜』とか
『女の子なんだから〜〜』という強い脅迫

そして『性的な恥をかかせる』ということも
実は心の傷となりうるのです

 

『性的な興味』を親に見つかり
こっぴどく怒られたり
嫌悪されたり
けがらわしいものを見るような眼差しを向けられるということが
実は、子供の性の健やかな成長に圧をかけるものなのです

親は、『子供の性の成長』には敢えて
無頓着なくらいがちょうどいいのだと師は言います

そして親自身も、子供の前では
『親自身の性』を見せつけないということが非常に大事なのだとも言います

・・・が
そんなに完璧にいかないのが現代でもあるのですが。

 

ですので、主人格が『自分のことを恥ずべき人間だ』と思っている状態では
交代人格はまず存在を隠しますし、『自分が負った痛み』を話さないです

 

交代人格は、何より『救援』のために生まれた人格です

ですので、しっかり主人格が『自分の強さ(私は悪くなかったという自覚)』を
認識しないうちには外部にほとんど出てこないことが多いのです

 

 

話は戻りますが
解離性障害と、解離性同一性障害の違いが表になっているので
ご紹介します

これらは共通してトラウマ体験(特に幼少期の虐待や不安定な養育環境 逆境体験)との関連が強いです

そして
DID(解離性同一性障害)は最も重篤な形態とされ、複雑で長期的な治療が必要になります

 

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カウンセリングでは、診断はできないのですが
見立ての大事な項目としまして『記憶』を重点的に見ていくことをします

 

試しに『質問①』と『質問②』に
当てはまるものをチェックしてみてください

質問①
項目 該当するか?
自分に関する記憶の一部が思い出せない(特に辛い体験など) □
突然、見知らぬ場所にいることに気づくことがある □
自分の身体を外から見ているように感じる(離人感) □
周囲の現実がぼやけて感じられる(現実感喪失) □
重要な人との関係や仕事に悪影響が出ている □
身体の一部が麻痺したように感じるが、医学的原因が見つからない □
強いストレスやトラウマ体験がきっかけになっている □

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質問②
質問項目 該当するか?
「自分の中に別の存在がいる」と感じたことがある □
自分が「変わった」と他人に言われることがある □
思い出せない記憶がある(時間の喪失・ブラックアウト) □
覚えていないのに、自分の行動の記録(メッセージ、買い物など)が残っている □
自分の名前や年齢、性別とは異なるような自己感覚がある □
声・口調・筆跡が変わることがある □
内側に「声」があり、会話しているように感じることがある □
子どものような言動や思考が突然あらわれる □
自分の身体が自分のものではないように感じることがある □
自分の意思に反して、身体が動くように感じることがある □

 

質問①が解離性障害、そして質問②が解離性同一性障害の可能性を探るテストでした

5項目以上チェックが入っている場合には
少し自分自身を観察してみることが、自分自身への大事なアプローチになるかもしれません

 

しかし質問②の場合
この状態がポジティブに働くこともあります

特に創造性を使うお仕事などをされている方などは
こういった特徴が、無意識から色々な情報をキャッチしたり

また独自の世界観を創り上げていくこともよくあるのです

 

なので質問②に該当項目が多い場合でも
『いい特徴』はそのままにして

困った状態を引き起こすものを
大切にカウンセリングしながら、どう『抱えて』いくか・・を
試みています

 

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解離性障害も
解離性同一性障害も、どちらも『障害』という言葉が入っています

しかし、これを『障害』とみなすか

もしくは『恩恵』、または『希望』とみなして
共に生きていけるようにするか

私としては、後者の『恩恵』として共に生きていける様に
したいというのが望みでもあります

 

これは何も解離のケースに限りません

 

『終わりよければ全てよし』という諺がありますが

カウンセリングにおいては本当にそうだなと思って日々努めています

 

クライエント様が
何はともあれ、カウンセリングを終了された時に

『あの体験も、今にこうやって繋がっているんだ』と
今の自分を清々しく受け止められて生きていけるようになればと願って
おります

   

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