フロイトの思惑

 フロイトは今から100年前に

『この世のヒステリー(心的外傷への自己防衛として、自己同一性を失う神経症の一種)
 は 男尊女卑の副産物だ』

と言っていたのにも関わらず

フロイト自身もその男尊女卑、すなわち家父長制を味わい尽くしていた一人だったので
そこまでの見解がありながらも
それ以上は手付かずになってしまいました

男尊女卑というのを認める土壌がなかったからではありますが
フロイト自身が出世願望を捨て切れなかったことなどから

その当時のフェミニズムとの迎合を拒否し
自分の学術研究を捨て

180度翻って
〜女性は性的搾取をされたがっている〜

という『真逆!』な方向に舵を切ることになります

女性の神経症の原因は
『家父長制で成り立っていた男性の男性による
 女性への性的圧制がもとである』

なんて
当時 そこまでたどり着いたフロイトはすごいなと思うのだが

けどそのご本人が
『家父長制』という政治的信条や、それを背景にした出世システムの方をとらざるを得なくなり

結局自分の魂の集大成とも言える『論文』や『学術』を
手放すという決断をさせた、その『家父長制』の強さって
物凄いなと思うのです

男性は男性にしか認めたがってもらっていない
・・すなわち
男性が一番欲しがっているものは
『男性による賞賛』『男性による承認』だと著書で書いておられたのは上野千鶴子さんです

そこの願望を捨てた時に
男性は『人間』に生まれ変われることができると、
私も実際のカウンセリングを見ていて思うのです

昔から私は
目の前に大きな鉛筆が現れる時がありました

それは白昼夢のように

妙な現実感を伴って
頭の中と言いますか

ボン

と現れるのです

これが出てくるときというのは
私は追い立てられているときなのですが

ある時からこれは もしかしたら
『性的虐待のシンボル的な妄想』なのではと理解し始めたら
それは消えていきました

ちなみに私の息子は
歯が噛み合って どんどん近づいてくる大きな歯車が見えるそうです

どちらも『シンボル』的、象徴で
息子の場合は 尖っていなく
むしろ『飲み込むもの』が出てきているのが興味深いです

フロイトは『妄想』に苦しんでいるクライアントには
『心的外傷』に伴う『強烈な感情』を言語化させて取り戻すことが
妄想を収めていく有効な手段と言いましたが

それはうちのカウンセリングでもよく見られる光景であります

『恥ずかしいこと』を言語化し
『恥ずかしい』と言う
という経験がクライアントを癒していく手段としては有効ですが

しかしこれは
セラピストの性別も大事ですし
共感できるくらいの『怒り』と『絶望』をセラピストが持っていることも重要かと
見ています

カウンセリングの仕上げとしまして
この『家父長制』ってのに対峙されるクライアント様がたを見ると
本当にすごいなと思う

この世の中の『諸悪の根源』のようなものが
それぞれの家庭の中で体現されていたのだと
理解し
受け入れるということは
力がついてこないとできないものです

父親と母親

男性と女性

そこに横たわる圧倒的な『差』を
男性に有利なように解釈されてきたのが『家父長制』ですが

そこを理解するということは
『パートナー』になりうる相手の性(さが)を
怒り 悲しみ
そしてどう折り合いをつけるかと言うところに
個性が出てくるところだと思うのです

ちなみに私は
『戦う』ことを今は選択しています

自分も戦いたいですし
何より、戦意喪失しかけているクライアント様の代わりに戦うこともあるのです