Case37 確実にわたしの人生を取り戻しつつある。あるったらある。

胸の奥や腹の底や喉の内側にひっかかっているものをたどたどしく引っかかりながらどうにか伝えると、それを引きずり出したり動かしたりしてもらえる。その感覚がわたしには面白い。ほかでもないわたしが変化をする、ということがどうにも楽しいのです。

その日も、目を閉じて体内と脳内にある『動き』を感じ、た。途端、わたしの肩のあたりからなにか細い線のようなものが立ち上がり、それがもの凄い勢いで目の前を通過し右側へ身体ごと引っ張る勢いで流れていくのが見えた。それはシャッターを押しっぱなしにしたまま撮った星の軌跡のような、たくさんの光の束のような、そしてものすごく速くおおきな『流れ』でした。
中心にいるわたしの瞼の裏にはそれがとても美しく映りました。
その流れは、わたしには不要だから動かし形を変え、取り除いてもらっているはずのものなのですが、そのときのそれ自体に対して、早く出て行け、とかはなく、きれいだというのも後付けにすぎないかもしれず、流れ、すごい、と、人間の言葉を覚えはじめたシーザー(猿の惑星：創世記)のごとき貧弱な語彙でもって呟きつつ、ただぽかんと見ているだけでした。
少しだけ人間に戻り、コンピューターに打たれた罵詈雑言が、送信されてから届くまでの間、ただのデジタルの束になって流れていくときだけは美しく見えるのかもしれない、とも思いましたが、あとはふたたびエイブになり、おおすごいすごいと眺めているだけでした。

施術後は疲れ切って、すさまじいエネルギーの動きに影響を受け、案の定体調をくずして更に元から気になっていた背中の部分の皮膚がとうとう炎症を起こし切除手術をするというハプニングもありつつ、おかげさまでいまは以前より元気な体になりました。

元気さを自覚することがなぜだか後ろめたいここはまだ道半ば。
だが少しずつではありますが確実にわたしの人生を取り戻しつつある。あるったらある。
しっかり信じていないと及び腰になるのです。進むのがかすかに怖いのです。いろいろなことが起こり、面白いのですが、どうにも手足がふるえるのです。だけどこれを書いているいまも若干吐き気がくるけど、おお…まだ動きがあるのか…と冷静にみられるから大丈夫かな、と。。

先生がおっしゃったように、ここからはわたしの勇気が必要になる。
これまでだったらたぶん勇気って言葉は、どこか白けたような、暑苦しく押し付けがましいものに聞こえていたはず。でも、妙にしっくりくるので、どうやら使いどきがきたようなのです。
がんばります、とも言えます。がんばるって…(笑)、とはならないのです。がんばりどきがきたようです。
自信を持たせてくれて、ここまでもってきてもらえて、ほんとうにうれしいです。乙原先生との会話は、とっても面白いです。

もう少し、もう少しと、ゆっくりではありますが着実にのぼっていきたいので、今後とも、どうぞよろしくお願いします。